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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第193話 :第1章 QMSの効果的な活用 5つのパターン (その3)

Ⅳ.機能別管理でヨコの繋がりを活用

機能別管理とは、「品質保証、原価管理、納期管理といった、機能別の連携を良くして、全社的な目標を達成する」ための活動をいいます。対象が、広い範囲に及んでいる問題の解決や課題を達成するには、部門別管理より機能別管理の方が優れています(図7参照)。

QMSにおいて、機能別管理は、大規模な組織であれば、専門の部署を設置することもありますが、中小の組織であれば、委員会、プロジェクト活動により運営します。

ここでは、プロジェクト活動において、コストダウンを検討する場合を例にとり、その活動の進め方について考えてみます。

① プロジェクトリーダーを任命し、関係部門(設計・開発、購買、製造部門)からメンバーを招集して、プロジェクトチームを結成する。(規格箇条:5.5.1 責任及び権限、7.1製品実現の計画)

② 課題の内容(目標の確認を含む)を把握し、現状分析を実施する。(規格箇条:6.2 教育・訓練、8.4 データの分析)

③ 幾つかの方策を立案・検討し、最良の方策を選択し、これを実施する。(規格箇条:5.5.3 内部コミュニケーション、7.1製品実現の計画、8.4 データの分析)

④ 実績と目標とのギャップを確認し、必要な場合は、処置を行う。(規格箇条: 8.4 データの分析、8.5 改善)

 QMSで機能別管理を活かすときのポイントは、上記に挙げた、規格箇条5.5.1、5.5.3、6.2、7.1、8.4、8.5に関連する手順を、品質マニュアルなどのQMS文書の中で、整えることにあります。

 

Ⅴ.サプライチェーンによる活用

「同舟相救う」、利害を同じくする者が互いに助け合い協力する。サプライチェーンによる活用は、まさに「同舟相救う」と言ってよいでしょう。

QMSにおけるサプライチェーンとは、〈供給者-組織-顧客〉の関係をいいます。供給者とは、原材料などの購入先を指し、規格では、業務の外部委託先を、供給者とは別に扱っています。ここでは、供給者及び外部委託先の両者は、同じ扱いとして、供給者と呼び、供給者及び顧客との間におけるQMSの有効な活用方法について述べます。

①供給者との関係を活かす

ISO 9001は、組織(企業)が供給者を管理する、という目的で作成されたという経緯があります。従って、企業が顧客の立場で、供給者にISO 9001の適用を要求し、供給者のQMSで、製品(原材料及び役務)の品質を保証してもらうというのが、オーソドックスな活用法といえます。

次に、供給者がQMSを構築しているか否かに拘わらず、供給者との関係については、規格の「7.4 購買」に着目します。組織(企業)が供給者を監査すること(又は、顧客が組織を監査すること)を、二者監査といいます。供給者と新規に取引を始めるとき、または、継続取引の可否を判定するときには、この二者監査が、供給者を評価する上で効果的です(規格箇条:7.4.1参照)。供給者をチェックするポイントは、供給者の仕組みにおける、顧客関連の業務(規格箇条:7.2参照)、製造関連業務(規格箇条:7.5参照)、検査業務(規格箇条:8.2.4参照)、修正及び是正処置業務(規格箇条:8.3、8.5.2参照)です。

また、企業活動において、企業が、供給者に対して、明確な指示を与えていないが故に発生するトラブルが、結構、目立ちます。供給者に伝えなければならない情報は何か、どのような方法でそれを伝えるのか、また、契約書を締結して約束ごとを決めなければならないか等、企業は供給者に伝達するべき必要な情報の管理をしなければなりません(規格箇条:7.4.2参照)。

②顧客との関係を活かす

QMSの最大の目的は、顧客満足を向上させることにあります。そのためには、それぞれの企業が、顧客満足の向上を図るためのPDCAの形を明確にすると良いと思います(規格箇条:7.2、8.2.1参照)。顧客満足の向上を図るために、「PDCAをしっかり回すぞ」という、単なる掛け声ではなく、誰が、何を、いつ、どこで、何のために、どのようにする、という5W1Hをベースにした、顧客満足の向上を図るための具体的な方法論を展開することが大切です。

顧客との関係を活かすためのポイントをもう一つ。それは、コミュニケーションです。何の情報を、どのような手段を用いて、誰が顧客とやり取りをするのか、まとめてみて下さい(規格箇条:7.2.3参照)。顧客との大切な情報のやりとりに、欠陥が見つかるかもしれません。それから、顧客とやり取りした情報を、社内に展開する仕組みのチェックも忘れずに(規格箇条:5.5.3参照)。

 

4.おわりに

ISO 9000には、組織のパフォーマンス改善に向けた品質マネジメントの八つの原則が掲載されています。

  1. a) 顧客重視
  2. b) リーダーシップ
  3. c) 人々の参画
  4. d) プロセスアプローチ
  5. e) マネジメントへのシステムアプローチ
  6. f) 継続的改善
  7. g) 意思決定への事実に基づくアプローチ
  8. h) 供給者との互恵関係

 

 本章の執筆を終えて、この「QMSの効果的な活用 5つのパターン」が、品質マネジメントの八つの原則との関連が深いことを、改めて感じました。この八つの原則も、ISO 9001規格の要求事項の範囲を越えた領域について、論じています。

 ISO 9001は、企業が、社会、或いは顧客に対して、果たさなければならない最低限のことを要求しています。従って、要求事項にある範囲の活動をしているだけでは、必ずしも自社の利益に繋がるとはいえません。

 しかし、QMSは、ISO 9001の要求事項を越えた活動により、企業の目指す方向に進むためのサポートをしてくれます。

QMSは、皆さんの使い方次第で、企業の役に立つ、とても優れたツールなのです。

 

日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した特集記事「QMSを効果的に活用するための5つのパターン -成功事例に学ぶ- 第1章 QMSの効果的な活用 5つのパターン より


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