このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
4.各章と著者の紹介
各章のタイトル及び執筆者を一覧表にまとめました。(表3)を参照してください。次に、各章の概要と担当する著者を紹介します。
第1章:「組織を活かす、QMSを活かすための技術・技能の伝承」
-「気づき」の大切さと「気づき方」を伝える-
著者:山本 宏司
既存の技術・技能を磨き、より付加価値の高い技術・技能とするためには、何らかの「気づき」が必要です。この章では、「気づき」の大切さと「気づき方」をどのように伝えたら良いかを述べます。また、ISO 9001に基づく品質マネジメントシステム(QMS)の中に、「気づき方」と「技術・技能の伝承」をどのように組み込めば効果的な仕組みになるのか解説します。
第2章:「コミュニケーションスキル強化による、効果的な技術・技能の伝承」
- 真の伝承を目指し、磨き、そして伝えよう -
著者:星 加代子
「人」に関して、企業・組織が様々な問題を内包する今の時代、より良い「技術・技能の伝承に取り組むためには何が必要なのでしょうか。この章では、伝承し合う「人」そのものにスポットを当て、コミュニケーション、モチベーション、人材育成などをテーマとし、組織内で技術・技能を磨き、真の伝承を成すためのヒントを、サービス業に於ける実例を交えながらお伝えします。
第3章:「工場を元気にする伝承」
-ものづくり力の向上のために 縦と横の伝承、そして、その創造-
著者:南 和宏
工場において、如何にすれば「ものづくりの力」を向上させることができるかを、技術・技能の伝承と創造という切り口から述べます。実例を基に、タテ方向(次世代)の伝承とヨコ方向(他部署)への伝承の実態とその活性化の方法を提案します。さらに、伝承すべき技術・技能の創造方法について管理者やトップマネジメントの立場から考え方、進め方を述べます。
第4章:建築の長寿命化を可能にするための技術・技能の伝承
―耐震補強工法を中心にして―
著者:岡本 直
建築は、一度つくられると、その後、数十年、場合によっては100年を超えて使用できるものでなければなりません。ここでは、長寿命化に必要な改修技術の一環として、耐震補強を取り上げ、そのなかで、新しい工法の取り組み、その技術や技能の伝承がどのように行われているのかを紹介します。さらに、建築現場の機械化、合理化工法が進む中で、忘れがちな「ものづくり」の原点をあらためて問い直します。
第5章:「事例紹介:三重ダイケン株式会社久居工場」
-知恵を活かした工夫の宝庫-
取材:山本 宏司 案内:南 和宏
この章では、工場管理の上で重要な安全、品質、環境への取り組みに係わるノウハウや工夫の事例及びこれらを創り出す仕組みについて紹介します。紹介する事例は、全て作業者がアイディアを出し、自らが製作し、そして自らが使っている工夫の数々です。ノウハウを創り出す仕組みのポイントは、業種の違いにかかわりなく共通であり、製造業はもちろんのこと、サービス業の読者の皆様にとっても、お役に立つ内容であると思います。
5.結び
昨年まで、マスコミでは、「2007年問題」を企業活動に関わる問題として、大きく取り上げていました。しかし、もうすでに過去の問題として片づけられたのか、今では殆ど目にすることはありません。
「2007年問題」は、団塊の世代、中でもこの世代で最も多い1947年生まれの方々が2007年に60歳を迎え定年退職することにより、企業に大きなダメージを与え、社会に対しても影響を及ぼす意味で使われてきました。企業に与える具体的なダメージとしては、これまで培われてきたノウハウ、技術・技能が途絶えてしまうことを挙げることができます。「技術・技能の伝承」の成否は、企業にとって、その存続をも左右する重大な問題です。
この問題に対し、各企業は、十分な対応ができたのでしょうか。「2007年問題」に対し、どのような対応をしたのか、次の3つのタイプに分類し、それぞれの分類別に、今後、取り組まなければならないテーマとこの特集記事の活用方法について述べます。
タイプ1:教育・訓練制度など、ノウハウを伝承する仕組みを、すでに持っていたので、この仕組みにより対応した。
タイプ2:ノウハウを伝承する仕組みは、持っていなかったが、「2007年問題」の重要性を認識し、団塊の世代が持っているノウハウを、何とか次世代に引き継ぐことができた。
タイプ3:「2007年問題」の重要性は認識していたが、具体的な対応は、まだできていない。
タイプ1の企業においては、「2007年問題」は、既存の仕組みの中で、難なくクリアーできたことでしょう。今回の特集記事により得るものがあれば、既存の仕組みを見直し、改善するために活用してください。
タイプ2の企業は、結果的に「2007年問題」をクリアーしたに過ぎません。その場しのぎの処置で終えることなく、これからも引き続き、確実に「技術・技能の伝承」をするための仕組みを作る必要があります。
タイプ3の企業は、早急に、(誰が誰に、何を、いつ、どのような方法で、「技術・技能の伝承」をするのか、などの)計画を立案し、実行しなければなりません。次に、タイプ2の企業と同じく、「技術・技能の伝承」をするための仕組み作りの検討をすることをお薦めします。
タイプ2とタイプ3の企業にとって、この特集記事は、「技術・技能」を確実に伝えるために必要な要素を理解すること及びQMSに基づく仕組み作りのポイントを理解することにお役に立ちます。
先にも述べましたが、「技術・技能の伝承」の成否は、企業にとって、その存続をも左右する重大な問題です。「2007年問題」は、企業が継続的に活動をする過程で、越えなければならないハードルのうち、少しレベルの高いハードルであったに過ぎません。
今回の特集記事は、企業活動において、これからも直面するであろう「技術・技能の伝承」という課題を確実にクリアーしていくための参考書として活用して頂ければ幸いです。
この特集記事の中で、いたらない点、ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくお便り下さい。読者の皆様のご意見をお待ちしております。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した特集記事「ISOで技術・技能を伝承する」の序章より
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