このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
2.ISO 19011の変更内容
ISO 19011変更内容の解説、第1回目は、「1.適用範囲」の変更点について述べます。
この規格の適用範囲には、「A:ISO 19011に含まれる要素」、「B:ISO 19011の適用対象」の2つの事項について記述されています。ISO 19011「1.適用範囲」の新旧の記述の違いを(図1)にまとめました(図1参照)。
まず、この規格が対象としているマネジメントシステムについて見ていきましょう(表3参照)。(表3)の旧版と新版の比較でもわかるように、旧版は、マネジメントシステムをQMSとEMSに限定していますが、新版は、すべてのマネジメントシステムを対象にしています。
次に、対象とする監査の形態の違いについて目を向けてみます。監査の形態には、第一者監査(内部監査)、第二者監査(例えば、顧客が組織を監査する)及び第三者審査(認証審査)があります(図2参照)。また、別の表現として、第一者監査のことを内部監査、第二者監査及び第三者監査のことを外部監査ともいいます。(図1)のBでは、旧版、新版ともにこの規格が対象としている監査の形態は、内部監査と外部監査です。しかし、新版の「序文」に「内部監査(第一者監査)とサプライヤーに対して実施される顧客によって行われる監査(第二者監査)に焦点を合わせている」と記述されています。つまり、今回の改定により、ISO 19011は、第三者監査の形態への適用を外したことになります。
改めて、ISO 19011「1.適用範囲」における、2つの変更内容を次にまとめ、これらについてもう少し詳しい説明を加えていきます。
(1)全てのマネジメントシステムの種類に適用できる。(2)第三者監査の形態は対象から外された。
(1)全てのマネジメントシステムが対象
冒頭で述べた通り、ISO 19011の誕生の背景には、それまでのQMSとEMSの監査の規格を一本化することがありました。旧版が発行された当時(2002年)、主なマネジメントシステムの規格はQMSとEMSであったことも、この規格が、2つのマネジメントシステムの監査に限定した理由の一つといえそうです。
ただ、(図1)のBにあるように、旧版の適用範囲には、「他のマネジメントシステムへの適用することも原則として可能である」とされ、更に、「そのような場合は、チームメンバーに必要な力量の特定に特に配慮する」とあるので、従来から、食品安全マネジメントシステム、労働安全マネジメントシステムなど、他のマネジメントシステムの監査でも、ISO 19011が活用されてきました。
(2)第三者審査は対象から外された
第三者監査を行う認証機関は、「ISO 17021適合性評価-マネジメントシステム審査及び認証を行う機関に対する要求事項」に基づき、認定機関により認定されています。これは、ISO 9001が組織に対する品質マネジメントシステムの要求事項であると同様に、ISO 17021が認証機関に対する品質マネジメントシステムの要求事項にあたります。ISO 17021は、昨年1月に改定されました。それまでは、ISO 17021の注記の箇所にISO 19011が引用されていましたが、今回の改定では、それが削除されました。
これらにより、ISO 19011は第一者監査、第二者監査を、ISO 17021は第三者監査を対象とした監査の規格としての役割が明確になりました。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した連載記事「経営に活かすために内部監査を変える!」 2012年2月号より
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