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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第144話 「第3回 監査証拠は、『監査現場でつかまえて』」(その1)

1.はじめに

昨年12月、近所のショッピングセンターで、年末恒例の福引き抽選をしました。特賞が当たるようにと念じながら抽選器(通称、ガラポン)を回しましたが、5回の抽選結果はいずれも最下等(5等)でした。くじ運が弱い筆者は、特賞はもちろん、4等賞すら当たらなかったのです。

ところで、もしガラポンの中に特賞の金色の球が1個入っていたとすれば、どの位の確率で特等が当たるのでしょうか。

ガラポンは、その大きさにより異なりますが、筆者が抽選した大きさ(八角柱の対角線約50cmくらい)であれば、5,000個の球が入っています。従って、5回の抽選で金色の球を出す確率は、1/1,000(=5/5,000)ということになります(※1)。実際には、中身を調べない限り、私たちはガラポン中の金色の球の数を知る術はありません。しかし、比較的出現率の頻度が高い4等賞(黄色の球)であれば、何回かの抽選で黄色の球がどれだけ出現したかを調べることにより、ガラポンの中に入っている黄色の球の数が推定できます。例えば、20回の抽選で、黄色の球が3回出たのであれば、出現率は15%(3回/20回)であり、5,000個の球の中におよそ750個の黄色の球が入っていると考えられます。実際には、サンプリングにおけるばらつきを考慮して、750個を中心値とした幅をもつ数が推定値になります。このとき、ガラポンの中身全体を母集団といい、20回の抽選(サンプリング)で母集団の中にある黄色の球の数を推定したことになります。

  話は変わりますが、マネジメントシステム(以下、MSと略す)監査は、会社の仕組みがどのような状態であるのかを調査し、判定する活動です。ただ、MSに関連する全ての情報を調査するには、時間や工数がかかるため、母集団からサンプリングをして調査を行います。前述したガラポンに入っている黄色の球の推定とは異なりますが、サンプリングにより抽出したサンプルが、母集団つまりMSを代表するものでなければ、意味がありません。

今回の1つ目のテーマ「改訂されたISO 19011の主な変更内容の解説」では、監査サンプリングの解説をします。

ここでは、次の2つがキーワードです。

キーワード: ①判断に基づくサンプリング、②統計的サンプリング

 

この連載記事は、次の2つのテーマで構成されています。

1.改訂されたISO 19011の主な内容の解説

2.経営に活かすための内部監査のポイントの説明

 

(※1)抽選し終わった球をガラポンに戻して使うのか戻さずに使うのかで、その都度、金色の球が出る確率は変わりますが、ここでは単に、5,000個の中から5個を抜き取ったケースを想定しています。

 

 

日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した連載記事「経営に活かすために内部監査を変える!」 2012年4月号より


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