このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
1.はじめに
日本適合性認定協会のデータによれば、日本国内のISO 9001品質マネジメントシステム(以下、QMSと略す)の適合組織は、2006年第4四半期の43,564件をピークに徐々に減少し、2010年第3四半期では38,208件となりました。ピーク時からこの4年間で、実に12%も減少したことになります。現在でも、新たに認証取得を目指す企業があることを考えると、この認証件数の減少は、認証を返上する企業の数が、認証を新たに取得する企業の数を、かなり上回っていることを物語っています。
「QMSの認証返上」は、一部では景気の低迷によるコスト負担の軽減が要因と言われていますが、果たして、そうでしょうか。景気の低迷は、2008年のリーマンショックを期に深刻化しましたが、認証件数の減少は、その2年前からもうすでに始まっていたのです。
コストダウンのための認証返上には、工場・事業所レベルから全社レベルに認証範囲を拡大する、自己宣言により、独自にQMSを維持するなど、より効率的にQMSを運用しようとする事例が含まれていると、確かに考えられます。しかし、その他の多くは、「QMSの認証返上」が、「QMS活動の停止」を意味するのではないでしょうか。「QMS活動の停止」が、なぜコストダウンに繋がるのか、筆者には理解し難いことです。
QMSは、企業にとって、どんな意味を持つのでしょうか?
◇顧客満足の向上を目指すため
◇継続的改善を確実にするため
◇商取引をする上で、顧客から要求されているため
QMSの認証を取得し、維持する目的は、それぞれの企業によって異なります。
しかし、QMSによる活動で得られる利益が、認証を維持するための費用を上回るのであれば、企業は、認証を返上することはないはずです。QMS離れは、QMSが経営にとって役に立たないと、企業が判断した結果なのではないでしょうか。
QMSは、使い方次第で企業の利益を生み出す有効なツールだと、筆者は考えています。QMSを、経営ツールとして、この先何百年も存続させるだけの価値があるものだと企業が認識すれば、その取り組み方は変わると思います。
今回の特集記事は、そのことを理解してもらうために企画し、①認証を維持することだけに取り組んできた企業(タイプ1)、②QMSをどのように使っていいのか悩んでいた企業(タイプ2)、③ある程度の成果を上げてきた企業(タイプ3)など、これまでQMSに取り組んできた全ての企業に、QMSを活用するためのヒントを提供いたします。
①タイプ1の企業に対して、QMS活動を、企業の目的の達成に向け、意味のあるものに変える。
②タイプ2の企業に対して、QMS活動を、有効なツールとして使うために、ポイントを押さえた活動に変える。
③タイプ3の企業に対して、QMS活動を、新たな活用法としての、更なるレベルアップした活動に変える。
このように、今回の特集記事は、読者の皆様のこれまでのQMS活動を変えるためのトリガー(きっかけ)にしたいと、思っています。また、これからQMSに取り組もうとしている企業にとっては、QMS構築の際に、どこに重点を置けば、企業の経営にとって役立つ仕組みになるのかが、必ず、分かってもらえるはずです。
この特集記事では、まず、QMSを効果的に活用するための5つのパターンを考案(第1章参照)し、次に、企業の活動事例(第2章~第6章参照)を検証します。第1章から第6章までの内容は(表1)にまとめてあります(表1参照)。
また、筆者は、これまでにも、ISOマネジメントシステムを効果的に活用するためのポイントを、様々な角度から述べてきました。これらが掲載された、本誌特集記事(参考文献 参照)も、是非参考にしてください。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した特集記事「QMSを効果的に活用するための5つのパターン -成功事例に学ぶ- 」より
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