このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
1.コミュニケーションの重要性
筆者は、ISO審査員研修機関で、食品安全マネジメントシステム(FSMS)及び品質マネジメントシステム(QMS)の審査員研修、内部監査員研修などの講師を務めています。
プロの審査員になるための資格を申請するためには、審査員研修を修了し試験に合格することが、1つの要件とされています。この研修の参加には、当該のISOマネジメントシステムに係わる規格を熟知していること、およびその分野の経験を有することが必要です。
従って、受講生は、規格の要求事項を入念に学習して研修に臨みます。受講生が審査員研修に持参した規格を見ると、「本文」には幾重にもアンダーラインが引かれていることが多いのですが、残念なことに、「序文」、「用語及び定義」、「附属書」には、マークのないことが、しばしば見受けられます。
特に「序文」は、当該規格に係わる重要な情報(作成された背景、目的、要約など)が記されており、ISO規格を学ぶ者にとって、決して疎かにできない部分であると言えます。
では、ここでISO 22000:2005の「序文」の内容をみてみましょう。
◇食品安全は、消費の時点で、食品に由来するハザードの存在に関連する。
◇食品安全ハザードの混入は、フードチェーン全体で適切な管理が必須である。
◇ISO 22000は、食品安全を確保するために、一般に認識されている主要素(図1参照)を組み合わせたFSMSに対する要求事項を規定している。
◇すべての関連する食品安全ハザードを明確にし、これらをフードチェーン内のそれぞれの段階で適切に管理することを確実にするためには、フードチェーンに沿ったコミュニケーションが必須である。
以下、「序文」では、FSMSにおけるコミュニケーションの重要性を説いています。
このように、コミュニケーションは、FSMSの中で重要な役割を果たします。本稿では、FSMSにおけるコミュニケーションの役割を明確にし、更に、内部監査でコミュニケーション関連の活動を調査する際の留意点について述べます。
2.FSMSにおけるコミュニケーションの役割
コミュニケーションについて、序文で紹介した内容に続き、ここではISO 22000:2005本文の要求事項を確認してみましょう。
(1)外部コミュニケーション
5.6.1では、フードチェーンにおいて、a)供給者及び契約者、b)顧客または消費者、c)法令・規制当局、d)FSMSの有効性もしくは更新に影響を及ぼす他の組織、との外部コミュニケーションのための手続きを確立することを求めています。
また、これらの外部コミュニケーションに係わる要員の責任と権限を定めて、外部に対する情報の伝達を確実にしなければなりません(図2参照)。
(2)内部コミュニケーション
5.6.2では、内部コミュニケーションによって伝達する情報として、a)からm) で具体的に示しています。これらの情報は、変更があれば、食品安全チームに伝達され、食品安全チームは、安全な製品の計画及び実現に係わる活動の見直しを検討します(図3参照)。
鶏卵肉情報センター『月刊HACCP』誌に掲載した連載記事「ISO 22000の内部監査を活かす」 2013年1月号より
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