このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
4.この記事の概要
製造業の営業・販売活動とサービス業におけるISOの取り組みのポイントは、製造活動にはないサービスの特徴を理解して、これを活用することにあります。サービスには、「無形性」、「生産と消費の同時性」、「顧客との共同作業」及び「結果と過程の等価的重要性」という4つの特徴があります。今回の特集記事では、この4つの特徴、又はこれに基づく考え方をキーワードとして、サービス業のQMS及びEMS活動のポイントを分かりやすく説明します(表1参照)。
第1章では、筆者の身近なできごとを例にとり、サービスの構成要素や特徴について説明します。
第2章では、サービスの特徴をQMSに活かすコツについて説明します。
第3章では、EMS活動を紙、ゴミ、電気の削減から一歩前へ進めるためのヒントを提供します。
第4章では、日本語学校としては、日本で初めてISO 9001を認証取得したアティスインターナショナルアカデミー日本語学校のQMSの取り組みを紹介します。
第5章では、牛乳をはじめとする乳製品の製造販売業を営む、中央製乳株式会社の販売部におけるQMSの取り組みを紹介します。
第6章では、廃棄物処理業を営む株式会社ミズノにおけるEMSを活用した事業戦略について紹介します。
第7章では、スイーツの製造販売を営んでいるモロゾフ株式会社の販売店におけるEMS活動の取り組みを紹介します。
第8章では、この特集記事全体の総括をします。
5.この記事の見どころ
(1)顧客満足は、まず従業員満足から
営業・販売活動とサービス業は顧客と接する一瞬一瞬が顧客満足を左右する「そのとき」になります。このため、顧客の期待を越えるためには、まず従業員が自分自身の仕事に誇りとやる気を持たなければなりません。第1章では、従業員満足の大切さを述べます。従業員満足に係わる取り組みの活動事例は、読者の皆様の参考になると思います。
(2)顧客とともに、顧客のために考える
顧客のニーズ、シーズを明確にして、そのニーズ、シーズに応える活動をマーケット・インといいます。顧客の価値観の多様化により、個々の顧客の要求に応えなければならなくなった今、マーケット・インというアプローチでは、その対応が難しくなりました。これからは、顧客の立場に立ち、顧客のために、顧客と一緒に、顧客に必要なモノや必要なコトを見つけていかなければなりません。このようなアプローチをマーケット・アウトといいます。第1章では、マーケット・アウトについて説明をします。活動事例では、顧客のために顧客と共に活動をする企業の姿を紹介します。
(3)文書化の工夫と教育・訓練の重要性を知る
サービスの特性の一つに、『無形性』があります。サービスには形が無いので、顧客は、サービスの提供を受ける前に、それを確認することが困難です。一般的には、この弱点を補うためパンフレットなどを作成し、サービスの内容の『見える化』を図ります。これに加え、マネジメントシステム文書の中で、サービス活動の進め方を文書化し、『見える化』することが、更なる顧客へのPRに繋がります。ただ、個別の顧客への対応については、具体的な活動内容を文書化することは難しく、それに代わり、従業員の力量に大きな比重を置くことになります。つまり、従業員の教育・訓練とこれに伴う権限の委譲が、サービス業にとって、顧客満足を果たす上でのポイントといえます。第1章~第3章では、営業・販売及びサービス活動の文書化、教育・訓練及びエンパワーメント(自らの判断で活動できる裁量権)の重要性を述べ、教育・訓練及びエンパワーメントの具体的な活動事例を紹介します。
(4)会社の方針を常に心に留め、自らの業務を遂行する
(2)と(3)に関連しますが、顧客への個別の対応については、従業員が顧客のために考え、与えられた権限に基づき判断し実行します。個々の細かい手順が文書化されてなくとも、その活動の拠り所は会社の方針にあります。第2章~第3章では、会社方針の重要性を説明し、活用事例では、会社方針がQMS及びEMS活動に果たす役割を具体的に述べます。
この特集記事は、これまでISOは役に立たないと誤解されてきたサービス業に、QMSやEMSにサービスマネジメントの考え方を取り入れることで、有効なツールになることを、広く知ってもらうために企画しました。
この特集記事が、読者の皆様にとって、何かお役に立つことができれば幸いです。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した特集記事「製造業の営業・販売とサービス業に活かすためのISO -私たちの会社は顧客の期待を超える- 」より
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