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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第133話 「第10回 コミュニケーションが機能しているかどうかをチェックする」(その2)

(3)コミュニケーションに関連する事項
5.6.1および5.6.2以外の箇条で、コミュニケーションに関連する要求事項を(図4)にまとめました。これらは、1)FSMSの主要な要素に係わる事項、2)コミュニケーション経路の確保に係わる事項の2つに分類できます。
1) FSMSの主要な要素に係わる事項
①「5.2食品安全方針」、② 「5.8.2 マネジメントレビューへのインプット」、③ 「8.5.1 継続的改善」、④ 「8.5.2 FSMSの更新」は、いずれもFSMSにとって主要な要素です。
これらFSMSの主要な要素に、コミュニケーションに係わる要求事項を含めているのは、コミュニケーションもまた、FSMSにとって重要な要素であることを裏付けています。

2)コミュニケーション経路の確保に係わる事項
まず、コミュニケーションに関する要求事項は、力量、認識及び教育・訓練(図4 ⑤参照)により、食品安全に従事する全ての人達に理解させます。そして、個々の検証結果の評価(図4 ⑥参照)により、必要なときに、必要な情報が、その情報を必要とする人達に伝わっているかどうかを確認し、もし、伝わっていなければ、伝達経路を見直します。
FSMSでは、食品安全に係わる情報を、適切に伝達する経路が確保されていなければ、それが、食品事故の未然防止機会の喪失、そして事故発生後の処置または対応の遅れにつながるのです。

3.コミュニケーションについて調査するときの留意点
ISO規格には、「コミュニケーション」の意味が定義されていません。そこで、辞書でその意味を調べてみました。
人間が互いに意思・感情・思考・情報を伝達し合うこと。言語・文字その他、視覚・聴覚に訴える身振り・表情・声などの手段によって行う。三省堂 大辞林 第3版より

この定義から、「コミュニケーション」を、「互い」、「情報」(「意思、感情、思考、情報」を「情報」にまとめた)、「手段」、「伝達」の4つの要素に分けてみました(図5 参照)。

内部監査で、コミュニケーションが機能しているかどうかを確認するとき、これら4つの要素に留意した調査は、問題点を見つけるのに有効です。以下に、(1)コミュニケーション経路の確認、(2)外部コミュニケーションと内部コミュニケーションとの繋がりの確認(以下、外部と内部コミュニケーションの繋がり、と略す)をするための調査の仕方を例示します。

(1)コミュニケーション経路の確認
食品安全情報に係わる情報が、必要な時に、その情報を必要とする人達に伝わっているかどうかを調査するためには、まず、監査員が食品安全に係わる情報を任意に特定することから始めます。
1)例えば、法令・規制の改正、工程変更、原材料の仕様変更などの情報を、予め入手する。(「情報」の確認)
2)食品安全マニュアルなどのFSMSに係わる手順を確認して、1)により入手した情報が、どの部署からどの部署に伝えなければならないか、その伝達経路と伝達手段を調べる。(「互い」および「手段」の確認)
3)その情報が、必要な時に、その情報を必要とする人達に伝わっているかどうかを調べる。(「伝達」の確認)
4)この調査で得られた所見を、コミュニケーション経路を見直す、関連要員に対してコミュニケーションの重要性を再認識させる、などの改善に活用する。

(2)外部と内部コミュニケーションとの繋がりの確認
 内部監査では、外部コミュニケーションで得た情報を内部コミュニケーションにより、必要とする部署の人達に確実に伝えられているかどうか、または、その逆のケースについても調査する必要があります。
 以前、筆者は、大手食品製造会社が行う業務委託先の監査(第二者監査)に立ち会い、その監査方法についてアドバイスしたことがあります。その際、業務委託元から発信された衛生管理、品質管理などに関する指示事項が、委託先の製造部門まで伝わっていない何件かの事例を目の当たりにしました。
なぜ、大切な情報が現場に伝わらなかったのか。その原因は、先に述べたコミュニケーションの4つの要素にあると考えられました。当該の会社におけるコミュニケーションの手順には、会議、朝礼、メールなど「手段」が明確になっていましたが、他の3つの要素を欠いていたのです。
-FSMSで取り扱わなければならない情報は明確になっているか。
-その情報は、誰に、どのような手段で伝えられ、正しく伝わっているか。
これらを内部監査で調査しなければならないのです。

次回は、法・規制の遵守の重要性ならびに、内部監査で遵守状況を評価するためのポイントをお伝えする予定です。


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