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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第102話 「戦略及び方針を展開する」(その3)

今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した連載記事「ISO 9004を活用して経営に活かすためのQMSに変える!」から、第3回 2012年9月号「戦略及び方針を展開する」を3回(第100話~第102話)に分けてご紹介します。今回は、(その3)を掲載いたします。

 

4.戦略及び方針の展開

「5.3 戦略及び方針の展開」の要点
◇戦略及び方針を実施するためのプロセスの確立し、実施し、維持する
◇プロセスが効果的かつ効率的であることを確実にする
◇戦略及び方針を展開するためにプロセス間の関係を明確にする

ISO 9004 「5.3.1戦略及び方針の展開 一般」、「5.3.2 プロセス及び実践」及び「5.3.3 展開」の内容並びにその関係を(図5)に示します。

5.3.1 戦略及び方針の展開プロセス
①戦略及び方針を測定可能な目標に展開する。
②それぞれの目標に対し、日程計画を定めて、目標達成の取り組みに係わる責任及び権限を割り当てる。
③戦略に関連するリスクを評価し、必要な対応策を講じる。
④活動に必要な資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)を提供する。
⑤目標達成に向けた活動を実行する。

5.3.2 プロセス及び実践

「5.3.1 戦略及び方針の展開プロセス」を効果的、効率的に実践するために実施する活動内容が記されています。

5.3.3 展開

「5.3.1 戦略及び方針の展開プロセス」を実施するために、プロセス間の関係を明確にします。

 

5.コミュニケーション

「5.4 戦略及び方針に関するコミュニケーション」の要点
◇戦略及び方針に関するコミュニケーションにはフィードバックの仕組み、レビューのサイクルも含める
◇組織環境における変化に積極的に対処する備えを取り入れる
◇コミュニケーションプロセスは、垂直と水平で機能するようにする
◇コミュニケーションプロセスは、受け取り側のニーズに合わせる

まず、コミュニケーションの意味を辞書で調べてみました。

「コミュニケーション」とは、人間が互いに意思・感情・思考・情報を伝達し合うこと。言語・文字その他、視覚・聴覚に訴える身振り・表情・声などの手段によって行う(三省堂 大辞林 より)。

この意味により、「コミュニケーション」という言葉の構成している要素を、(図6)に示すように4つの単語に分けました。これにより、良好なコミュニケーションを図るためには、伝達する相手、伝達する情報及び伝達手段を明確にしなければならないことが分かります。

次に、前回記事、「4.4 利害関係者、ニーズ及び期待」で挙げた利害関係とのコミュニケーションの例を(表2)にまとめました。

コミュニケーションで留意しなければならないのは、同じ情報が、受け取る側によって、異なった意味をもつ可能性があるということです。「合理化をして生産性を上げる」という情報を例にとって説明すると、株主は、これをコストダウンにより利益の増大に繋がると考え、良い情報と受け取りますが、従業員は、これを合理化に伴い、自らがリストラされる可能性があると考え、悪い情報として受け取ります。このように利害関係者の立場を考慮することを怠れば、そこに誤解が生じ、これが戦略を実行する上で阻害要因となることも考えられます。情報を伝える相手に対して、どのような情報を発信すれば真意が伝わるのか、十分考慮する必要があるのです。

今回は、主に、ミッション、ビジョン、戦略について述べてきました。戦略を立てて実行する意義は、ミッション、ビジョンに基づき、あるべき姿に到達するための最も近道を歩むことができることではないでしょうか。企業活動においては、その日、そのときの行き当たりばったりでは、到底、あるべき姿に向かうことはできないのは、言うまでもありません。
冒頭に述べた、大飯原子力発電所の再起動が、場当たり的なものではなく、日本のこれからのエネルギー政策のあるべき姿に、向かっていくための過程の一つであればいいのですが。

 

次回、「財務的及び経済的な便益を得る」では、ISO 9004 「6.1資源の運用管理一般」及び「6.2財務資源」について述べる予定です。

(参考文献)
「経営戦略」(株)有斐閣 大滝精一他著
「戦略とは何か」 東洋経済新報社 コーネリス・A・デ・クルイヴァー他著

 

日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した連載記事「ISO 9004を活用して経営に活かすためのQMSに変える!」 2012年9月号より


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