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ISOアラカルト

このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第172話 ISOで技術・技能を伝承する (その1)

1.はじめに

財団法人日本適合性認定協会(JAB)の統計によれば、品質マネジメントシステム(以下、QMSと略す)適合組織は2006年の43,564件をピークに、その数は増加から減少に転じています。この時期は、品質及び環境ISOの認証取得企業の不祥事が相次ぎ、ISOの審査制度の意義が問われ始めた時期と、ちょうど符号します。適合組織の減少は、認証を返上する企業が増えていることを示すものであり、その主な理由は、組織にとって、認証そのものが必要でなくなったか、またはISO 9001が役立たなかったことが考えられます。

前者の理由で返上した企業には、QMSの効率を上げるために、工場や事業所単位での認証を見直し、全社レベルのQMSとして統合した事例も含まれます。また、業務改善を目的としてQMSを構築した企業には、QMSが定着すれば、その先は、QMSの枠組み(計画、実施、監視及び改善)を活用することで、第3者による認証の必要はありません。

後者の理由で返上した企業には、認証することだけを目的としていた、あるいは現実と掛けた離れた仕組みを構築してしまったが故に、当然の成り行きとしてQMSが無用の長物となってしまったのではないでしょうか。

このため、JABのデータだけでは、企業においてISO 9001離れが進んでいるといえるものではありません。むしろ、筆者は、QMSが企業活動に役立つツールであることを理解し、QMSを有効に使おうという企業が確実に増えていると感じています。しかし、ISOをツールとして使う術を知らず、試行錯誤をしている企業が多いというのが現状ではないでしょうか。

企業活動において、成果を得るためには、経営資源(人、モノ、カネ、情報)を効果的に使うことが重要です。

そこで、今回の特集記事では、経営資源の中で、重要な人と情報の双方に関連する「技術・技能の伝承」をテーマとして取り上げ、読者の皆様にQMSをより効果的に使うためのヒントを提供いたします。

今回の特集記事の

「ISOで技術・技能を伝承する」  -よい製品、よいサービスづくりのための組織ノウハウの活かし方-

は、業種、会社の規模を問わず、幅広い読者の皆様のお役に立てることを念じ、4人の筆者が執筆を担当いたしました。

 

2.この特集記事の企画にあたり

この特集記事を企画するにあたり、著者全員で、この特集記事で欠くことのできない要素について確認をしました。

(1)技術、技能及び伝承という用語について

 今回の記事においてキーワードとなる「技術」、「技能」及び「伝承」は、広辞苑に次のような説明があります。

 

「技術とは、①物事をたくみに行うわざ。技巧。技芸。②科学を実地に応用して自然の事物を改変・加工し、人間生活に役立てるわざ。」

「技能とは、技芸を行ううでまえ。技量。」

「伝承とは、①伝え聞くこと。人づてに聞くこと。②伝え受けつぐこと。古くからあったしきたりを受け伝えてゆくこと。また、その伝えられた事柄。」

 

筆者らは、これらのキーワードを辞書の説明にある漠然としたものではなく、読者の皆様へ明確なメッセージを伝えるために独自の定義をしました。この特集記事で扱う「技術」、「技能」、「伝承」の各用語の定義は、次のとおりです。

 

技術:定量的に把握ができ、標準化が可能で、文書などで表現できる方法、仕方。

技能:定量化が困難で、文書などで表現ができない、経験に基づくカン、コツ、腕前。

伝承:タテ(次の世代)とヨコ(他の部署)に(意識的に)伝えること。自然に伝わる伝播は含まない。

 

「技術」と「技能」の違いを(表1)にまとめましたので参照してください。

 

「伝承」については、伝える先を、時間的な方向(次の世代)と空間的な方向(他の部署)の2方向を意識し、前者をタテの方向、後者をヨコの方向と呼ぶことにしました。ここで、「伝承」は、意識的に伝えることを意味して使います。よって、意識しなくとも自然に伝わる「伝播」はこの記事の対象から外しました。

 

2)この記事で扱う「技術・技能の伝承」について

表1の定義より、「伝承」することは「技術・技能」を対象としていますが、「技術・技能」は磨かなければ、その価値は下がってしまいます。このことを考慮し、今回の特集記事で扱う「技術・技能の伝承」は、次のように決めました。

 

「技術・技能の伝承」とは、

((「技術」+「技能」)+(創意、工夫により磨きをかけるための心や思い))を「伝承」すること

「 」内の用語の定義は、(1)を参照のこと

 

 伝承する対象は、単に技術・技能だけではなく、これを磨くための心や思いを含むことにしました。 

 

 

日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した特集記事「ISOで技術・技能を伝承する」の序章より


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