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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第168話 ISOと5S・JITのシナジー効果で、さらに儲ける (その1)

1.「視覚化」のメリット

皆さんは、自分で自分の頭の中を見たことがありますか。筆者は、数年前にMRI(磁気共鳴画像診断装置)により頭部の検査を受けた。数日後、医師からコンピュータ処理された頭の中の断面画像を前に見ながら、結果の説明を聞いた。頭蓋骨の中に収まっている自分の脳を自分で客観的に見ている、この時の不思議な感覚は、今でもハッキリと記憶に残っている。(図1 参照)。

 幸いにも、診断所見は問題なしと判定されたが、もし異常が見つかれば、この画像はその後の治療に結びつく貴重なデータになっていたはずである。MRIに限らず、人間ドッグでお馴染みのエコー、X線など画像診断機器は、人体の中を「視覚化」するための装置である。これらの装置は、人体の中を見ることができなかった頃に比べ、有用な情報量を数多く提供し、治療の有効性の向上に大きく寄与している。

このように従来、解らない、又は気づかなかったことが、「視覚化」することで得られた有用な情報により、その本質や問題が明らかになることがある。

画像診断機器と同様に、本記事で述べるISO9001品質マネジメントシステム(以下QMSと略す)、ISO14001環境マネジメントシステム(以下EMSと略す)及び5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)・JIT(ジャストインタイム)なども、又「視覚化」が重要な役割を担う。(これに関しては、後述する)

本編では、まず「視覚化」することの意義について触れ、次にQMS、EMSと5S・JITの関係を説明し、最後にこれら経営ツールのシナジー(相乗)効果によって、企業が儲けるための効果的な進め方を読者に提供する。

 

(1)QMS及びEMSの視覚化

ISO規格に基づくマネジメントシステムでは、各業務の内容やその流れを文書化する。文書化は、業務内容を「視覚化」することで、そこに問題が隠れていないかどうか、又業務でもし問題が発生したときには、どこに問題があったのかを明らかにする。

文書化の程度については、ISO9001 4.2.3参考2及びISO14001 附属書A4.4に次のような記述がある。

品質/環境マネジメントシステムの文書化の程度は、次の理由から組織によって異なることがある。

  1. a) 組織の規模及び活動の種類
  2. b) プロセス及びそれらの相互関係の複雑さ
  3. c) 要員の力量

ISO9001規格及びISO14001規格(以下、両者を併せて表記するときISO規格と略す)に適合するためには、文書の記述内容は規格要求事項を満たすことが必要になる。しかし、上記ISO規格の記述からも分かるとおり、文書の形、数や量、詳しさについては、それぞれの企業がそれぞれの企業の必要性に応じ決めれば良い。大切なことは、使わない文書を作るのではなく、企業にとって役立つ文書を作り、活動実績を踏まえてより良いものに改訂していくことである。皆さんもご存じのとおり、ブランデーには、熟成年数によりVO、VSO、VSOP、XOなどの符号を付け、その中のVSOP(Very Superior Old Pale)は高級レベルである。文書は、それを使いこなすことにより、文書のVSOP(注1)のレベルまで上げることができれば、本物に近づくのではないだろうか。

(注1)

 

(2)5S・JITにおける視覚化

5Sは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」について、ステップを踏んで実施する(詳細は、古谷誠氏の記事を参照)。「整理」(不要なものを捨てる)では、赤札を使い、不要なものか、そうでないものかを区分する。「整頓」(使いやすいように置き、明示する)では、設備や製品を識別するために看板を使う。

生産活動において、在庫はゼロが理想であるが、生産の流れを止めることを防ぐためには最小限必要となる。JIT活動では在庫を管理するため、又在庫を減らすことを実現するために、かんばん(引き取りかんばん及び仕掛かりかんばん)を使う。

このように、赤札、看板及びかんばんは、生産現場におけるムダや異常を「視覚化」するための道具として用いる。

 

「視覚化」は、潜在化していた問題を、顕在化させるための有効な手段である。QMS、EMSが仕組み上の問題を、5S・JITが生産上の問題を、「視覚化」することで明らかにし、その解決を図るための重要な役割を担う(図2 参照)。

 

 

 

 

日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した特集記事「5S・JIT及び品質と環境のISOで儲ける」の第6章「ISOと5S・JITのシナジー効果で、さらに儲ける」より


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