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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第117話 「パフォーマンスをチェックし、分析する」(その2)

3.分析、情報のレビュー
 この章では、「8.4 分析」及び「8.5 監視、測定及び分析から収集された情報のレビュー」について述べます。
「8.4 分析」の要点
◇トップマネジメントは、組織環境の監視から収集された情報を分析し、リスク及び機会を特定し、それらを運用管理するための計画を策定することが望ましい
◇収集された情報の分析は、戦略及び方針の課題に関する事実に基づき、(図6)に示す事項について決定することが望ましい
まず、ここでは、品質マネジメントシステム(QMS)における「8.4分析」の役割を考えてみます。
「4.2 持続的成功」(本誌2012年8月号参照)では、組織環境は刻々と変化しており、組織の持続的成功を達成するためには、変化に対する迅速な対応が必要不可欠であることに言及しています。また、「5.2 戦略及び方針の策定」(本誌2012年9月号参照)では、組織環境を定期的に監視し、その結果に基づき、戦略及び方針を更新することを述べています。つまり、組織環境の変化に係わる情報は、持続的成功を達成するために、そして、戦略及び方針を見直すために欠くことができない情報なのです。
「8.4分析」は、組織環境の監視によって得た情報を分析し、考察した結果を基に、戦略及び方針の更新を判断材料にするための重要なステップの一つなのです(図7参照)。

「8.5 監視、測定及び分析から収集された情報のレビュー」の要点
◇トップマネジメントは、利用可能な情報のレビューを行い、その情報が意思決定のために利用されることを確実にする
◇意思決定に利用されるデータは、(図8)に示す情報源から収集する
◇レビューは、その動向を明確にできるようにし、目標達成へ向けた進捗状況を評価するために、予め定められた、定期的な間隔で実施する
◇レビューは、ビジョン及び目標との関連における適応性、柔軟性及び応答性の側面を含め、それまでに実施された改善活動の査定及び評価を取り扱う
◇レビューのアウトプットは、活動及びプロセス間の内部ベンチマーキングのために、また、長期にわたる傾向を示すために利用される
◇レビューのアウトプットは、提供された資源の妥当性及び組織の目標の達成において、資源が効果的に利用されたかを示すことができる
 この箇条全体の内容を(図8)にまとめました。QMS活動に係わる意思決定をするための情報源は、「8.2 監視」、「8.3 測定」及び「8.4 分析」の結果から入手し、得られた情報により、次の事項を評価します。
◇目標に対して達成された結果
◇目標達成に向けた活動の進捗状況
◇改善、革新及び学習の機会
◇改善活動の査定及び評価
 次に、この評価結果を内部ベンチマーキング、長期的な傾向の把握、目標達成のために使われた資源の有効性に係わる評価に活用します。

4.ベンチマーキング
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」 これは、筆者が企業で新入社員として働き始めた頃の1980年代に、日本的経営を称えた言葉です。当時、アメリカでは、日本に追いつき、そして追い越すために、顧客満足の視点から既存の管理方法及び業務プロセスを抜本的に見直し、ビジネスプロセスを再構築するリエンジニアリングが導入され始めていました。リエンジニアリングに基づいて、現状を把握し、課題を抽出し、ベストプラクティスの探求をするために用いる手法がベンチマーキングです。
「ベンチマーキングの理論と実践」(参考文献4参照)によれば、ベンチマーキングとは、「ベスト・プラクティスとの比較・分析を行うことにより、そのギャップを埋め、現状を改善する有効な手段・方法論」であると説明しています。更に、ベンチマーキングのポイントとして、次の三点を挙げています。
◇最高に学ぶ
◇継続的改善
◇自身がベストとなる
ベンチマーキングでは、まず、その目的を明確にして、次に、何をベンチマーキングするのか、どこをベンチマーキングするのかを決めていきます。何をベンチマーキングするのかは、発見の深さと関連し、又、どこをベンチマーキングするのかは、新しい見識を得る量と関連していることの説明が、「ベンチマーキングの理論と実践」に図式化されていますので、これを(図9)に示します。

 

ベンチマーキングには、組織内活動のベンチマーキング、競争的ベンチマーキング、機能別ベンチマーキングなどの種類があります。
冒頭で紹介したM社の事例は、組織内活動のベンチマーキングです。競合他社を自社と比較してその組織に学ぶのが競争的ベンチマーキング、また、ある特定の機能について業界を超えて学ぶのが機能別ベンチマーキングです。
組織内活動ベンチマーキングでは、調査の対象が自組織であることから、必要な情報は得やすいのですが、競争的ベンチマーキング及び機能別ベンチマーキングでは、他社から情報を得なければならないため、いくつか留意しなければならない事項があります。ベンチマーキングの実施方法及び留意点については、紙面上の都合により割愛いたしますが、興味のある方は、専門書をご参照ください。

さて、本稿で取り上げた、内部監査、自己評価、ベンチマーキング、分析、収集された情報のレビューなどに関するISO 9004の内容には、ISO 9001に含まれていない要素がいくつかありました。これらは、現状のQMSを見直し、改善を検討する上で、参考となる材料になるのではないでしょうか。

次回は、「効率的、かつ効果的な改善、革新をする」と題し、ISO 9004 「9 改善、革新及び学習」について述べる予定です。

(参考文献)
(1)日刊工業新聞社 「ISOマネジメント」2009年10月号 特集記事「製造業の営業・販売とサービス業に活かすためのISO」 第7章 活動事例4:「モロゾフ株式会社」 ロマンのあるスイートを大切に 山本宏司著
(2)ISO 19011:2011 「マネジメントシステム監査のための指針」
(3)日刊工業新聞社 「ISOマネジメント」2012年2月号~6月号 連載記事 「経営に活かすために内部監査を変える!」 山本宏司著
(4)(株)ダイヤモンド社「ベンチマーキングの理論と実践」 ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス編集部編

日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌に掲載した連載記事「ISO 9004を活用して経営に活かすためのQMSに変える!」 2013年5月号より


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