このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
本章では、「妥当性確認」の意味を(表3)に基づき説明し、次に、内部監査で「妥当性確認」が有効であることを調査するためのポイントについて述べます。「モニタリング」および「検証」の意味は、次章で触れます。
(1)「妥当性確認」の意味
「妥当性確認」の定義には、この活動に係わる具体的な目的が示されていません。そこで、「妥当性確認」の目的を、ISO 22000 「8.2 管理手段の組み合わせの妥当性確認」の本文から補い((※2)参照)、「妥当性確認」の意味を平易な言葉で表現してみました。
「妥当性確認」とは、管理手段の運用に先立って、オペレーションPRP(O-PRP)またはHACCPプランに係わる管理手段が、
◇意図した食品安全ハザードが制御できる、
◇管理手段の組み合わせにより食品安全ハザードが制御できる、
ことを証拠により示すこと、を言います。
(2)「妥当性確認」を調査する
内部監査による「妥当性確認」に係わる調査は、食品安全マニュアルなどの手順に基づいて、「妥当性確認」を実施したかどうかを確認(適合性評価)するだけでは、十分とは言えません。管理手段が、科学的根拠に裏付けられたものなのか、また、時宜を得た再評価が、行われているかどうかを確認(有効性評価)する必要があるのです。
次に、内部監査による「妥当性確認」の有効性評価のポイントを挙げます。
◇HACCPプランおよびO-PRPによって運用されている管理手段に関して、ハザードが制御できる根拠を尋ねる
◇運用している管理手段によって、ハザードが制御されているかどうかを確認する
◇ハザードのレベルが許容水準を満たさない事例を認めたとき、管理手段の選定および仕様を設定した根拠に誤りがないかどうかを確認する
◇管理手段に変更があったとき、当該の管理手段に関する妥当性の再評価結果を確認する
◇製品仕様、製造設備などの変更があったとき、妥当性の再評価を行ったか、また、その評価結果は、ハザードを制御する根拠に値するものかどうかを確認する
◇ハザードに係わる新たな科学的データが示されたとき、妥当性の再評価を実施したか、また、その結果は、ハザードを制御する根拠に値するのかを確認する
3.管理手段が遵守されているか
「妥当性確認」は、管理手段を運用する前に、ハザードを制御できる根拠を示すための活動であるのに対し、「モニタリング」および「検証」は、管理手段の運用中または運用後に、それが遵守されているかどうかを確認するための活動と言えます。
次に、(表3)に基づき「モニタリング」および「検証」の目的と、その活動内容を述べます。
(1)モニタリング
「モニタリング」は、管理手段の運営中に、管理手段が正常に動作していることを判定するために、定められた観察または測定を行うこと、を言います。
「モニタリング」を行う目的は、次の通りです。
◇ハザードが適切にコントロールされているかどうかを判定するため
◇管理手段が異常を示したときに、必要な処置を講じるため
◇管理手段の状態を実証するため
(2)検証
(表3)にある、「規定要求事項」を、ISO 22000 「7.8 検証プラン」の本文から補い(※3)、「検証」の意味を平易な言葉で表現してみました。
「検証」は、管理手段の運営中または運営後に、
a) PRPが実施されている
b) ハザード分析へのインプットが更新されている
c) O-PRP及びHACCPプランが実施され、効果的である
d) ハザードレベルが許容水準内にある
e) その他の手順が実施され効果的である
ことを、客観的証拠により確認すること、を言います。
「検証」活動の実施の目的は、次の通りです。
◇安全な製品の実現に向けて計画したプロセスが、有効性であるかどうかを評価するため
◇食品安全マネジメントシステムの問題点を抽出し、その改善に寄与するため
「妥当性確認」、「モニタリング」、「検証」は、FSMSの有効性にとって、いずれも重要な役割を担っています。しかし、その意味を取り違えれば、それぞれの活動本来の役割を果たすことはできません。
FSMSに係わる活動の意味を正しく理解する、そして、これを確実に実践することでFSMSの有効性が得られるのです。
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