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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第115話 「プロセスを戦略に沿って計画し管理する」(その2)

3.監視
次に、ISO 9004「8.1監視、測定、分析及びレビュー 一般」及び「8.2 監視」の要点を挙げます。
8.1 監視、測定、分析及びレビュー 一般
◇刻々と変化する不確実な環境の中で持続的成功を達成するために、そのパフォーマンスを定期的に監視、測定、分析、レビューすることが必要である
8.2 監視
◇トップマネジメントは、組織環境を監視し、(図6)に示す事項のために必要な情報を収集し、運営管理するためのプロセスを確立し、維持する

 持続的成功を達成する上で、組織環境の変化をすばやく察知し、その変化に対して迅速な対応を図る必要があります。「8.2 監視」の(図6)には、組織環境を監視する、その目的が示されており、組織は、自ら運用している活動において、何がその目的に合う情報であるのかを特定しなければなりません。(図6)に示されている事項は、戦略及び方針の策定に係わる事項(ISO 9004箇条5参照)が主なものであり、その他、箇条6及び箇条7に係わる事項も含まれます。
ここでは、戦略及び方針を策定するときに前提とした状況に変化はないか、運用に必要な資源が不足していないか、などを監視するためのプロセスの必要性を論じています。この箇条の注記には、付属書Bの「原則1:顧客重視」が引用されていますので、これを(図7)に示します。

4.測定
次に、ISO 9004「8.3.1測定一般」及び「8.3.2 主要パフォーマンス指標」の要点を挙げます。
8.3.1 測定 一般
◇トップマネジメントは、組織のミッション、ビジョン、方針、戦略及び目標に照らし、予定した結果に対する進捗状況を評価することが望ましい
◇主要パフォーマンス指標に関する情報収集に利用される方法は、実用的で適切であることが望ましく、(図8)に例示する
8.3.2 主要パフォーマンス指標(Key performance indicators)
◇持続的成功にとって必要不可欠な要因を、パフォーマンスの測定の対象とし、主要パフォーマンス指標(KPI)として定義する
◇KPIは、定量化でき、組織が測定可能な目標を設定し、確認し、監視し、傾向を予測し、必要な場合には予防及び是正処置をとることを可能にする
◇トップマネジメントは、戦略的及び戦術的な決定を下すための基礎としてKPIを選定する
◇さらに、最上位の目標の達成を支援するためにKPIを、しかるべき部門及び階層において、パフォーマンス指標として順次展開する
◇KPIは、目標に整合し、目標は、戦略及び方針に整合したのもとする
◇KPIの選定にあたり、測定可能で、正確で信頼できる情報で、また、パフォーマンスが目標に適合しないときに是正処置をとるため、又はプロセスの効率及び有効性を改善するために必要な情報を準備する
◇そのような情報は、(図9)に示す事項を考慮する
 「8.3.1測定一般」では、ミッション、ビジョン、方針、戦略及び目標に対する活動の進捗状況の確認、並びにその成果を評価するための指標としてKPIを設定することを薦めています。(図8)には、KPIに係わる情報収集に関する方法が例示されています。この中の方法の一つとして示されているベンチマーキングについては、次回(第9回)の記事の中で、詳しく説明します。
「8.3.2 主要パフォーマンス指標」では、KPIの選定とその展開における留意点を述べています。KPIの選定にあたり、(図9左列)に示した事項に基づき、関連情報を準備します。(図9左列)の考慮すべき事項に関連したKPIを、筆者が(図9右列)に加筆、例示しました。KPIは、人に例えると、血糖値、血圧など健康の状態を測るためのバロメータであり、企業においては、組織活動が順調であるかどうかを測るためのバロメータと言えます。従って、KPIは、組織の戦略、方針、目標の評価に繋がる指標でなければなりません。

 5.プロセスにおけるKPI
ここからは、「7 プロセスの運用管理」に関連するKPIについて考えてみます。
戦略に基づき設定された方針並びに目標は、関連部門及び関連プロセスに展開され、KPIもまた同様に展開されます。プロセスで採用されている代表的なKPIを(図10)に挙げました。
パフォーマンス指標には、先行指標と結果指標という2つの側面の指標があります。先行指標とは、結果が出る前に先行して状況を把握して、結果を改善するための指標であり、結果指標とは、目標達成度を測定するための指標を言います。(図10)の営業プロセスを例にとれば、結果指数として受注数を選定したとき、見積数が先行指標になります。これらの指標は、それぞれ関連し、先行指標である見積数が少なければ、結果指数である受注数が増えることは期待できません。このように、結果指数と共に、予想される結果を改善するために必要な処置を判断するための先行指数をKPIに含めると、計画された結果を確実に得るための効果的な管理につながります。

ISO 9004では、戦略及び方針の策定からその実現に向けて、次のようなPDCAの枠組みが示されています。
◇組織環境及び利害関係者のニーズ及び期待を把握する
◇組織のミッション、ビジョン及び価値基準を確立する
◇戦略及び方針を策定し、これを目標に展開する
◇これを実現するための活動を実施する
◇計画された結果の達成及び進捗状況を把握するためにKPIを選定して、この測定結果により必要な処置を判断する
それでは、ISO 9001に、これと同様の枠組みはあるのでしょうか。
ISO 9001序文には、「品質マネジメントシステム(QMS)の採用は、組織の戦略上の決定によることが望ましい」とあります。この序文の内容を含めると、ISO 9001においては、次のような枠組みが得られます。
◇戦略に基づきQMSを採用する(序文)
◇顧客満足の向上を目指す(5.2)
◇品質方針(5.3)及び品質目標(5.4.1)を設定する
◇品質方針・目標の達成に向けたQMSを計画する(5.4.2)
◇QMS活動を実施する(7)
◇QMS活動を監視及び測定する(8.2)
この枠組みの中で、QMSの状態を測る指標であるKPIに関連する箇条は、「8.2.3 プロセスの監視及び測定」であり、この箇条を活用することが、QMSを上手に使うコツなのです。

次回は、「パフォーマンスをチェック、分析する」と題し、ISO 9004 「8.3.3 内部監査」、「8.3.4 自己評価」、「8.3.5 ベンチマーキング」、「8.4 分析」、「8.5 監視、測定及び分析から収集された情報のレビュー」について述べる予定です。

(参考文献)
ISO 9000:2005 「品質マネジメントシステム -基本及び用語」
ISO 10014:2006 「品質マネジメント-財務的及び経済的便益を実現するための指針」


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