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ISOアラカルト

このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第113話 「知識、情報及び技術を運用管理する」(その2)

3.天然資源
次に、ISO 9004「6.8 天然資源」の要点を挙げます。
「6.8 天然資源」の要点
◇天然資源の入手可能性は、持続的成功並びに顧客及びその他の利害関係者の要求事項を満たす能力に影響を及ぼし得る要因の一つである
◇エネルギー及び天然資源の短期的及び長期的な入手可能性及び利用に関連するリスク並びにこれらの機会を考慮する
◇環境保護の側面を製品の設計・開発に組み込む、及び特定されたリスクを軽減するプロセスの構築を適切に考慮する
◇製品の設計、製造又はサービスの提供、流通、使用及び廃棄に及ぶ製品及びインフラストラクチャーのライフサイクル全体にわたり、環境影響を最小限のすることを目指すことが望ましい

 組織の持続的成功(※)のためには、企業活動を運営する上で必要なエネルギー(電気、ガスなど)の確保は不可欠です。又、顧客及びその他の利害関係者の要求事項を満たすためにも、安定したエネルギーの供給は必要です。
 「6.8 天然資源」では、エネルギー及び天然資源の入手、並びに企業活動が及ぼす環境影響について考慮すべき事項を示しています。この箇条では、関連する規格として、ISO 14001及びその他のISO 14000ファミリー規格を引用しています。これらに加え、ISO 9004発行後の2011年に新たに発行されたISO 50001「エネルギーマネジメントシステム」(参考文献3  参照)を参考にすると良いでしょう。ISO 50001は、エネルギーの使用、及び使用量を含むエネルギーパフォーマンスの継続的改善を達成するための体系的な取り組みを示す規格で、その骨格を(図6)に示します。又、(図6)の「エネルギー計画」の内容を(図7)に示します。
(※)持続的成功:組織を取り巻く環境は、刻々と変化するが、いかなる環境変化にも迅速に対応して、事業を存続していくこと

 

 4.知識資産の活用
ISO 9004附属書Aには、各箇条に対して、組織が自己評価をすることによって、現在のパフォーマンスを把握するための基準が示されています。ここで、附属書Aから箇条「6.7 知識、情報及び技術」に係わる成熟度レベルを抜粋して(図8)に示しました。レベル1は基本レベルであり、レベル5はベストプラクティスとしてのレベルを表しています。現在の成熟度レベルは、レベル1から順に確認し、それまでのレベルの要素すべてが満たされれば最上位のレベルと判定されます。読者の皆さんの会社における「知識、情報及び技術」の管理は、現在、どの位のレベルですか。一度、この基準で評価をしてみて下さい。
なお、自己評価にあたり、レベル2の内容には、注意が必要です。レベル2には、「情報、知識及び技術の特定」とありますが、何をもって「情報、知識及び技術」が特定できていると判断すればよいのか、迷うところです。これを明らかにするためのヒントが、「知識経営のすすめ」(参考文献4 参照)にありますので紹介します。

「知識経営のすすめ」には、知識資産を、構造的な分類及び機能的な分類という2つの異なる視点により分類し、具体事例を示しています(図9参照)。構造的な分類項目として、(1)企業が市場活動を通じて獲得累積した知識資産(市場知識資産)、(2)組織として獲得した知識資産(組織的知識資産)、(3)製品(モノ)にまつわる知的資産(製品ベース知識資産)、を取り上げています。又、機能的な分類項目として、(1)経験として累積・共有された独自の知識資産(経験的知識資産)、(2)知覚・概念・シンボルなどの知識資産(概念的知識資産)、(3)構造化された知識資産(定型的知識資産)、(4)組織的制度、仕組み、手順で維持された知識資産(常設的知識資産)、を取り上げています。(図9)には、それぞれの項目に分類された知識資産を例示しています。企業が持っている「情報、知識及び技術」を特定するにあたり、(図9)を参考にすると良いでしょう。

「知識、情報及び技術」を効果的に運用管理するためには、まず、管理対象となる「情報、知識及び技術」を特定しなければなりません。日本企業にとって重要な「知識」及び「技術」が、海外に流出していることは冒頭で述べましたが、その背景には、情報セキュリティ上の問題だけではなく、「知識、情報及び技術」の管理において、何を管理しなければならないのか特定されていないことも、その一因として挙げられるのではないでしょうか。

 

次回は、「プロセスを戦略に沿って管理する」と題し、ISO 9004 「7 プロセスの運営管理」について述べる予定です。

(参考文献)
(1)「知識創造企業」東洋経済新報社 野中郁次郎、竹内弘高、梅本勝弘著
(2)ISO 27001:2005「情報技術-セキュリティ技術-情報技術セキュリティマネジメントシステム-要求事項」
(3)ISO 50001:2011「エネルギーマネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」
(4)「知識経営のすすめ」株式会社筑摩書房 野中郁次郎、紺野登


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