今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌2006年2月号 特別記事「内部監査は、QMS活動全体の状態が分かるバロメーター -QMSの成果をだすための内部監査のポイント-」を4回(第23話~第26話)に分けてご紹介します。今回は、(その4)を掲載いたします。
ISO 9001 8.2.2 では、次の事項が満たされているか否かを明確にするために内部監査を実施することを要求している。
すなわち、a)QMSの適合性とb)QMSの有効性の確認である。特にb)は、内部監査固有の要求事項である。
図8に審査登録機関の審査と内部監査の目的の範囲の違いを表す。
また、適合と有効性をISO 9000では、次のように定義している。
ここでは適合性の話は割愛し、有効性の確認にポイントを絞って述べる。
内部監査規定などには、監査活動でQMSの『有効性』を確認するというルールが定まっているのだが、実際には評価されていないことが多い。
QMSの『有効性』て、何ですか?
と、質問しても答えが返ってこない。
有効性を理解するためには、先の定義より、「計画した活動」と「計画した結果」がキーワードとなる。「計画した結果」とは予め設定した目標であり、「計画した活動」とは目標を達成するために予め決めた活動の筋書きのことを指す。
QMSは、図3に示すように品質方針や品質目標を達成するための仕組みであることからその他「計画した結果」を、各プロセス単位で考えると、
7.4購買管理の目的は、適合しない購買品の当社への流入防止であり、
7.5.1製造及びサービスの管理の目的は、不良品など不適合製品の発生予防であり
8.2.4製品の監視及び測定の目的は、クレームにつながる不適合製品の流出防止である
ことから、
などのパフォーマンスが考えられる。(但し、パフォーマンスに係わる有効性は、会社が必要と判断したときでよい)
適合性の確認が決めごとに対する順守状況の確認に対し、有効性の確認は目的に対するパフォーマンスの評価である。当然、パフォーマンスが達成されなければルールの見直しに繋がる。従って、適合性と有効性の評価は図9のように表すことができる。
QMSは、常に暫定の仕組みであり、顧客を含む世の中の価値観が変われば、より良い方向へ変わって行かなければならない。
QMSを変えるきっかけを与えてくれるのが有効性の評価結果であり、有効性を評価するツールが内部監査なのである。
最後に、皆さんゲームに参加してみてください。
まず、図10をご覧になって、A~Eの中で好きなアルファベットを選んでください。
経験的には、Aを選ぶ方が多いのですが、たくさんの方に選んで頂くと、A~Eでばらついた結果になります。
次に、頁を遡って図4をご覧になって、同じようにA~Eの中から好きなアルファベットを選んでください。どうでしょうか?皆さんはDを選びましたか。また、Dを選ばなくても、やはりハートのマークは気になります。
実は、このあみだくじのゲームは、QMS活動に通じるものがあるのです。
あみだくじのゲームに参加した皆さんは組織の一員、ハートのマークは品質方針・品質目標です。将来到達すべくハートのマーク(品質方針・品質目標)を遡り、これに到達する道を定め、アルファベット(現在のポジション)の位置を選択したのです。
ハートのマークがなければ、皆さんばらばらな方向へ向かってしまいます。QMS活動に例えれば、会社の向かうべき方向など関係なく、従業員の皆が好き勝手な方向に向かうことと同じです。
QMSで品質方針・品質目標がいかに大切かをお解りになって頂けるでしょうか。
内部監査は、このQMS活動の中で、向かっている方向に間違いはないか、また、顧客を含む世の中の期待に品質方針・品質目標が合致しているかを確認する貴重なツールなのです。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌2006年2月号 特別記事「内部監査は、QMS活動全体の状態が分かるバロメーター -QMSの成果をだすための内部監査のポイント-」より
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