このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
第88話
「確実なコミュニケーションを図るためのPDCA」(その1)
今回は、一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」から、2010年6月号「確実なコミュニケーションを図るためのPDCA」を3回(第88話~第90話)に分けてご紹介します。今回は、(その1)を掲載いたします。
先日、仕事で北海道に行ってきました。春の北海道は初めてだったこともあり、仕事の合間を利用してクラーク博士の銅像が立つ羊ヶ丘と小樽運河を観光してきました。
小樽運河では、日暮れ時のレトロな雰囲気を醸しだす倉庫(写真上 「運河に並ぶ倉庫」参照)や、まるで西部劇の宿場街を彷彿させる夜の運河通り(写真下 「夜の運河通り」参照)は、筆者を十分堪能させてくれました。
「運河に並ぶ倉庫」
「夜の運河通り」
小樽運河の周辺をひと回りした後に、自然に足が向かった先は、運河通り沿いのビヤ・ホールでした。お店の中央には銅製の製造タンクが2基設置されており、このタンクで製造された数種類のビールがメニューに並んでいます。筆者は席に案内されると、店員から勧められたビールを早速注文しました。1杯目と2杯目を程なく飲み干し3杯目を待っていた、ちょうどその時です。隣席のご婦人から「どちらかこられたのですか」と、声をかけられました。隣のテーブルには筆者より少し年上とみられるご夫婦が座っていらっしゃいました。これをきっかけに、会話が始まり、出身地、旅行、趣味などの話題で盛り上がり、ビアーホールは、筆者とそのご夫婦とのコミュニケーションの場となりました。
企業活動では、お客様、上司、部下など関係する人達の間で、コミュニケーションを通じて様々な情報のやりとりをしています。ここで、企業におけるコミュニケーションに係わる二つの場面を再現してみます。
この2つの事例は、情報が上手く伝わっていない状況を表している点では同じですが、扱っている情報の違いにより企業活動に及ぼす影響の大きさが異なります。つまり、①で扱っている情報は、会議への出席要請であり、これが上手く伝わっていなくても大きな問題にはなりません。これに対し、②で扱っている情報は、原料に含まれるアレルゲン物質なので、アレルギー体質の人達にこの情報が伝わらなければ、事故の発生に繋がります。食品会社にとって、このような事態になることだけは、是が非でも避けなければなりません。
ISO 22000(食品安全マネジメントシステム)やISO 9001(品質マネジメントシステム)には、コミュニケーションに係わる要求事項を含んでいます。この要求事項への対応例として、会議体を羅列しているだけのケースが少なくありません。このように会議体を挙げているだけでは、食品安全にとって何の情報が重要なのか、誰に伝えなければならないのか、他に良い伝達方法はないのかが全く分かりません。
そこで今回は、食品会社において重要な情報、特に食品安全に係わる情報を、必要とする人達に間違いなく伝えるためには、どのようなことに留意したらよいかを考えてみます。
一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」 2010年6月号より
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