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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第85話
「妥当性確認を実施するためのPDCA」(その1)

今回は、一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」から、2010年5月号「妥当性確認を実施するためのPDCA」を3回(第85話~第87話)に分けてご紹介します。今回は、(その1)を掲載いたします。

 

1.水戸黄門は安心を提供しているか


筆者は、今年でシリーズ41年目を迎える『水戸黄門』のファンの一人です。『水戸黄門』が初めてテレビで放映されたのは1969年。筆者はその当時、まだ中学生でした。中学生の筆者にとって『水戸黄門』はただの娯楽番組というだけではなく、登場人物のせりふで、色々なことわざを学ぶ機会を与えてくれました。“魚心あれば水心あり”、“覆水盆に返らず”などは、この番組を通じて知ったことわざです。『水戸黄門』の見どころは、格さんが葵の御紋が入った印籠をかざす場面であることは言うまでもありません。勧善懲悪のストーリーで、いつも安心して見られる、それが『水戸黄門』の最大の魅力と言えます。 ここで『水戸黄門』の1つのストーリーを再現してみます。

  • ①悪人に追いかけられた旅人を風車の弥七が助ける。
  • ②風車の弥七はその旅人を水戸光圀公(以下、光圀公とする)の所へ案内する。
  • ③光圀公は自分が水戸のちりめん問屋の隠居であることを告げ、「安心しなさい、ここは安全だから」と言って、その旅人を保護する。
  • ④光圀公はその旅人から事のいきさつを聞き出し、代官が悪事に係わっていることを知る。
  • ⑤光圀公の命を受け、風車の弥七と疾風のお娟が悪事の証拠を掴むため調査をする。
  • ⑥光圀公とその連れの者(助さん、格さん、風車の弥七、疾風のお娟、ちゃっかり八兵衛)が代官所へ乗り込み、乱闘が始まる。
  • ⑦機を見て、光圀公が「もうよかろう」と言い、それを合図に格さんが葵の御紋が入った印籠をかざす。
  • ⑧最後に、光圀公が悪代官に沙汰を(又は沙汰を待つことを)言い渡し、悪代官を懲らしめる。

これは『水戸黄門』でよく見かけるあらすじですが、客観的にみると、おかしな点がいくつかあります。その1つが③です。私たち視聴者は、ちりめん問屋の隠居が副将軍の光圀公であり、その連れの者の腕が立つことをすでに知っています。だから、光圀公の側にいれば「安全・安心」してよいことがわかります。しかし、保護された旅人は、なぜそこが「安全・安心」な場所なのかわかりません。旅人に対して「安全・安心」な理由について十分な説明がされていないのです。
食品会社における「安全・安心」への取り組みでもこれと同様に、「安全・安心」を保証する相手(消費者)に対して、当社の製品がなぜ「安全・安心」できるのか、その理由を説明できなければなりません。
そこで今回は、製造工程において管理方法が適切であることを科学的に証明するための《妥当性確認を実施するためのPDCA》について考えてみます。

 

 

一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」 2010年5月号より

 


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