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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。

第80話 
「前提条件プログラム(PRP)を確実に実施するためのPDCA」(その2)

今回は、一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」から、2010年3月号「前提条件プログラム(PRP)を確実に実施するためのPDCA」を3回(第79話~第81話)に分けてご紹介します。今回は、(その2)を掲載いたします。

 

2.PRPをPDCAで管理する

ISO 22000ではPRPを、
『安全な最終製品及び人の消費にとって安全な食品の生産、取り扱い及び提供に適したフードチェーン全体の衛生環境の維持に必要な基本的条件及び活動』と定義しています。
ISO22000の認証を受けているか、否かに拘わらず、食品を扱う会社では、すでにPRPが存在し、これを運営管理しているはずです。 これから述べる『PRPを確実に実施するためのPDCA』は、食品会社において、既存のPRPの見直しに役立つものと思います。


(1) Plan


①PRPの目的を明確にする

PRPの目的を、次に例示します。
  • ◇建物、装置及び設備の構造、配置などの配慮が、ハザードをコントロールするために必要である。
  • ◇原材料や製品の取り扱いにおいて予防的な処置をとることで、食品の安全性を保証する。
  • ◇施設及び装置の清掃は食品の汚染因子を取り除く。
  • ◇そ族・昆虫及び廃棄物の管理は、微生物汚染を防止する。
  • ◇作業者の清潔さを保つことは、食品への汚染防止、並びに消費者への疾病の伝達予防に繋がる。

PRPは、すべての会社にとって一律なものではなく、扱う製品や施設の状況などによって変わります。 PRPがどういう意図で策定されたのか、その狙いや目的を明らかにすることで、PRPを遵守することの重要性について、作業者の理解が深まります。

②PRPに含む内容の漏れを防ぐ

PRPの内容は、『食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)について』(平成16年2月27日、食安発第0227012号)を参考にするとよいでしょう。 このガイドラインは、コーデックス委員会の食品衛生の一般原則を考慮して作成されており、厚生労働省のホームページで確認することができます。

③教育・訓練を計画する

PRPの狙いや目的、管理の内容、異常を発見したときの連絡や処置の方法について、従業員に教育・訓練するための計画を立案します。 PRPの運営管理を徹底するためには、教育・訓練は一度だけではなく、繰り返し行うことが肝要です。

④確認及び検証の方法を決める

PRPの管理状況をチェックする方法を決めます。チェックの対象は、PRPの管理状態、PRPの成果を確認する検証を含みます。 また、チェックした結果は、記録に残します。記録は、問題の発生時、その管理状態がどうであったかを確認するときに、 また、決められたとおりにPRPの管理を実施していることを実証するときに活用します。

⑤PRPを更新する手順を決める

策定したPRPは、工程、設備の変更、生産品目(特性)の変更に伴って、見直し、更新が必要です。


(2)Do


PRPに従って、衛生管理を実行します。

(3)Check

①PRPの運用状況を確認する

PRPの運用状況を手順に基づき、自分たちが定めた頻度で確認します。

②PRPの検証をする

決めたとおりにPRPが実施されているのか、PRPで決めたことは正しいのかどうかを定期的に確認します。

(4)Act


Checkの結果に基づき、適切な衛生管理を実行するため、PRPの不足、変更を吟味し、必要であれば、PRPを更新します。更新した内容は、臨時の教育・訓練を行い、関係者に周知を図ります。

 

 

一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」 2010年3月号より

 


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