このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
今回は、一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」から、2010年1月号「5Sを定着させるためのPDCA」を3回(第71話~第73話)に分けてご紹介します。今回は、(その3)を掲載いたします。
前述のA社とB社で、5Sが定着できなかったのは、それぞれ理由があると思いますが、両者に共通していることは、どちらもPDCAの枠組みが無く、堂々巡りの活動をしていたことです。ここでの堂々巡りとは、PDCAの枠組みにおいてDo(方法論に基づく5Sの実施)を繰り返す(DoDo:堂々)のみで、Do以外のPlan,Check,Actが考慮されていないことを意味します。
表2「5S活動を定着させるためのPDCA」でポイントとなるのはPとCです。
まず、Pでは、5S活動の目的を明確にすることが重要です。「なぜ5Sが必要なのか」、「5Sで何をしたいのか」を明確にしなければ、どの範囲を、どの程度まで、だれが中心となって5Sをしなければならないのか分からず、計画を立てることすらできません。5Sを実施することそのものは、目的ではありません。5Sは企業の何らかの目的を達成する手段なのです。
もう一つ、Cでは、定期的な監視が必要と考えます。監視は、計画に対する実施状況の差違と計画内容(アクションプラン、教育内容など)の有効性が対象となります。
筆者が子供の頃は、お正月といえば、家族や親戚と福笑いやすごろくで夜が更けるのを忘れ遊んでいました。この単純なゲームのどこに魅力があったのでしょうか。改めて考えると、次のことが思い当たります。
いずれのゲームも基準(福笑い⇒型通りな顔、すごろく⇒ゴール)があり、そこに近づけたり、目指したりすること、つまり動機付け(モチベーション)があったことで楽しさが生まれたようです。ゴールのないすごろくなど、楽しい遊びになりそうもありません。
業務においては勿論のこと、5S活動についてもモチベーションはその活動に大きな影響を及ぼします。組織行動に係わる専門書では、モチベーションの研究は次の3つの側面について理解、説明しようとしています。
①の方向性は、トップの方針がそれにあたります。前述のB社において工場長が変わった途端に活動が逆戻りになってしまったのは、トップによる5S活動への支持の低下が、従業員の5Sに係わるモチベーションの低下に繋がったと推察されます。
②の強度には、5S活動の目的が影響を及ぼします。5S活動が何に役立つのか、そのことを従業員が理解することで強度は増します。
③の継続性には、従業員に対する定期的な教育・訓練が必要です。日常業務でつい忘れがちになる5S活動。その教育訓練を定期的に実施することで5Sの状態の維持が可能となるでしょう。
一般社団法人日本農林規格協会(JAS協会)『JAS情報』誌に掲載した連載記事「PDCAあれこれ」 2010年1月号より
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