今回は、株式会社鶏卵肉情報センター『月刊HACCP』誌に掲載した連載記事「ISO 22000の内部監査を活かす」より、2012年5月号「監査証拠を集めて現状を知る」を3回(第63話~第65話)に分けてご紹介します。今回は、(その1)を掲載いたします。
筆者は、これまでに数多くの内部監査に立ち会ってきました。その中には、
◇感情的な言動による感査、
◇調査不足や的はずれな指摘ばかりの(甘い)甘査、
◇いつも同じ質問を繰り返して慣性で行っている慣査
など、音読みこそは同じでも、監査とはほど遠い活動がいくつかありました(図1参照)。ここでは、もう一つ、勘違いによって行われていた勘査について、これがどのようなものなのかを事例を挙げて説明していきます。
A社は、ISO 22000の認証取得をしてすでに3年を経過していました。内部監査に関しては、手順は明確に定まっており、年間スケジュールに基づき予定通りに実施され、その活動内容は記録(チェックリスト、監査計画書、監査報告書など)され、その記録は手順通りに保管されている。従って、初回認証審査及びサーベイランス審査では、内部監査に係わる指摘は全くありませんでした。一見すると、内部監査に係わる問題点は、A社には見当たりません。しかし、整った表面上とは裏腹に、その実態は、チェックリストに書かれたチェック項目を監査員が読み上げ、それに対して被監査者が「はい」または「いいえ」で答える、全く意味のない活動だったのです。つまり、A社は、チェック項目に○か×かの印を付けるだけの作業が内部監査であると勘違いをしていたのです。A社の内部監査の頻度は1年に1回で、一つの部署における所要時間は15分、この時間の中で約30項目をチェックしていました。
内部監査を理解していないA社に筆者が伝えた主なアドバイスは次の3つです。
以下に、その内容の一部を再現します。
内部監査は、食品安全マネジメントシステム(FSMS)における隠れた問題(潜在的な問題)に気づく(顕在化)機会であり、顕在化した問題に対して再発防止(是正処置)を図ることにより、FSMSのレベルアップに寄与するとても大切な活動です。
私たちは、健康診断や人間ドックで、問診票のチェックだけの診察を受けますか?心臓は心電図、肝臓は血液の分析結果とエコー、胃はX線や胃カメラなどで得られた情報を基に、医師が私たちの体はどのような状態なのかを診断します。これと同様に、内部監査では、監査員が具体的な情報を基に、FSMSがどのような状態にあるのかを診断しなければなりません。内部監査で、実際に入手する情報が監査証拠なのです。
今回は、監査証拠について、その意味と監査における役割について述べていきます。
株式会社鶏卵肉情報センター『月刊HACCP』誌に掲載した連載記事「ISO 22000の内部監査を活かす」 2012年5月号より
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