今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2011年7月号 リレー連載「闊達で明るさあふれる職場を作ろう!」から「そんな職場にするために福笑いを活かそう」を3回(第49話~第51話)に分けてご紹介します。今回は、(その2)を掲載いたします。
環境の3Rといえば、Reduse(減らす)、Reuse(繰り返し使う)、Recycle(再資源化)であることは、誰もが知るところでしょう。
筆者の考えたコミュニケーションにおける3Rとは、Receiver(受信者)、Response(応答、反応)、Repeat(繰り返し)を指します。これから、コミュニケーションの3Rを説明していきます(図2 参照)。
まず、コミュニケーションの意味を辞書で調べてみます。
人間が互いに意思・感情・思考・情報を伝達し合うこと。言語・文字その他、視覚・聴覚に訴える身振り・表情・声などの手段によって行う。 三省堂 大辞林 第3版より
筆者は、「コミュニケーション」という言葉を構成している要素を、4つの単語に分けてみました(図3 参照)。
それらの単語-「互い」、「意思、感情、思考、情報」(以下、情報と記す)、「手段」、「伝達」-の中では、筆者は「互い」がキーワードになると考えています。
コミュニケーションでは、情報を発信する側(以下、発信者という)と情報を受信する側(以下、受信者という)が存在します。
では、発信者から出された情報が、受信者に確実に伝わるための鍵はどちらが握っているのか、これから審査員研修のある場面を挙げて考えてみます。
審査員研修に参加される受講生は、言うまでもなく、真剣に研修に取り組んでいます。
ただ、真剣な受講生全員に、筆者の説明が伝わっているかというと、どうもそうではないようです。受講生に、情報を相等しく発信しても、その伝わり方は受信者毎に異なるのです。その要因は、受講生のそれまでの知識・経験ではなく、頭の中のノイズにあるのではないかと筆者は考えています。ノイズとは、研修とは関係のないこと、つまり、仕事のこと、家族のこと、趣味のことなどを指します。このノイズが、受講生の頭の中で、学習の邪魔をしているのです。
このことは、自分自身を振り返っても、思い当たるところがあります。プライベートな話になりますが、筆者の家では、「明日はお願いね。」「何だった。」「昨日、言ったでしょう。」という会話が、夫婦間で度々交わされます。このような会話になった背景には、筆者が他に考えごとをしていたが故に、妻の話を聴き逃してしまったことが少なからずあるからなのです。
発信者から発信された情報は、受信者に届くかというと、必ずしもそうではありません。発信者が出した情報が確実に伝わるかどうかの鍵を握っているのは、まず受信者であることを理解しておく必要があります。では、発信者はどうすることもできないのかというと、そうではありません。それをカバーするのが次の2つのR(Response、Repeat)です。
発信者は自身が伝えたい重要な情報が、受信者に確かに伝わったかどうかの確認をする必要があります。
審査員研修では、日々の小テスト、受講生からの質問、アンケートの回答などを確認の場としています。特に、小テストの結果は、どれだけの情報が受講生に伝わっているかが如実に現れます。おおよそ、受講生の理解度は20%が十分、60%がまあまあ、そして残りの20%が不十分という傾向が見られます。経験則として80:20の法則は広く知られていますが、正に、この法則に理解度も当てはまるのです。
さて、それでは、読者の皆様の業務で、理解度をチェックするにはどのようにしたらよいか、その方法の幾つかを挙げてみます。
受信者のこのような行動を観察することで、情報がどの程度伝わったのかが判断できます。
発信者は、大切な情報については、受信者に繰り返し伝えなければなりません。審査員研修では、重要な事項については、少なくとも3回は繰り返すようにしています。ただ、繰り返すといっても、単純に同じことを何度も述べるのではありません。時と場面を変える、更に、①型通りの説明、②筆者の経験を織り込んだ説明又は事例による説明、③問いかけ、というように伝え方を変えて同じ内容を繰り返し説明するのです。これで、受講生の理解度はアップし、80%が十分、20%がまあまあの状態に近づきます。
次に、読者の皆様の業務における繰り返しの方法を3例挙げます。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2011年7月号 リレー連載「闊達で明るさあふれる職場を作ろう!」から「そんな職場にするためにコミュニケーションの3Rを活かそう!」より。
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