今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2011年4月号 リレー連載「闊達で明るさあふれる職場を作ろう!」から「そんな職場にするために福笑いを活かそう」を3回(第46話~第48話)に分けてご紹介します。今回は、(その2)を掲載いたします。
福笑いは、昔からお正月の遊びとして親しまれてきました。目隠しをして、おかめの顔の輪郭に、眉・目・鼻・口などのパーツを置き、できあがりのおかしさを楽しむものです。どうしてこのゲームが楽しいのか、その要素のいくつかをここに挙げてみます。
筆者の子供の頃は、遊びといえば校庭で鬼ごっこや缶蹴りをしたり、砂場で砂まみれになって相撲をとったことが思い出されます。時を経て、現代の子供達といえば、何と言ってもゲーム機を使った遊びでしょうか。最近では、子供ばかりだけではなく、携帯電話を使ってゲームに熱中している大人の姿を見かけることも少なくありません。このような機械を使用するゲームは、一人で、手軽に、しかもどこでも遊ぶことができます。
一方、福笑いは、一人で行っても何ら面白くありません。家族、友達など多くの人が集まり、ワイワイ・ガヤガヤとした雰囲気の中で行われます。目隠しをした競技者は、眉・目・鼻・口などのパーツをセットするときに、周囲を取り囲む人達からの情報を、判断材料として用います。競技者と周囲を取り囲む人達とのコミュニケーションが、この遊びの大きな特徴といえます。
競技者は、目隠しをした後に、おかめの顔のイメージを頭に描き、イメージ通りに眉・目・鼻・口などの顔のパーツをセットします。パーツをセットし終えて目隠しを外した競技者は、予めイメージした顔と実際にできあがったおかめの顔に、ギャップがあることを知ります。そのギャップが競技者自身に『笑い』を誘います。
一方、周囲の人達は、競技者が眉・目・鼻・口などの顔のパーツをセットする過程を見て、楽しみます。競技が何回か繰り返されるにつれ、競技者の上達ぶりもまた、楽しみの一つです。
競技者は、ゲームの最中に、周囲の人達から様々な情報を得ますが、全て正しい情報とは限りません。出来あがったおかめの顔をおかしな顔にするために、周囲の人達が、わざと間違った情報を流すことが少なくないからです。競技者にとっては、信用できる情報とそうでない情報を取捨選択する判断が、おかめ顔の出来映えを左右します。
複数の競技者で行う福笑いでは、おかめ顔が出来るまでの時間や出来映えを競います。ゲームの結果で勝ち・負けが下されるので、競技者は、勝とうという意識を持ってゲームに臨みます。勝つための戦術を練るのも、この遊びの楽しさの一つといえるでしょう。
福笑いは、おかめの顔の輪郭と、眉・目・鼻・口などのパーツさえあれば、いつでも、どこでも、何人でも遊ぶことが出来ます。これらのパーツは、紙と筆記道具さえあれば簡単に準備できます。一方、ゲーム機を使った遊びは、高価なゲーム機やソフトがなくては始まりません。その上、複雑(?)な操作やルールを覚えなければ、何も面白くありません。
ゲーム機を使った遊びでは、魅力的なソフトは爆発的なヒットを飛ばすことがあります。しかし、その反面、ブームは短期間で去ってしまいます。遊びを後の世代まで、長続きさせる秘訣は、案外シンプルさにあるのかもしれません。
どうやら福笑いは、お正月の遊びとして、明治の頃から定着したようです。今では、やや廃れた感がありますが、それでも、筆者はお正月の遊びといえば、「福笑い」を真っ先に思い浮かべます。読者の皆様は、どうでしょうか。
福笑いの楽しさの秘訣は、これらの他にもまだ挙げることができるかもしれませんが、ここらあたりで打ち止めとして、これまで挙げたキーワードを改めて並べてみます。(図1)をご覧になって下さい(図1 参照)。
(図1)を眺めてみると、ここに挙げたキーワードは、職場を活性化するために必要なキーワードと相似していることに気付きます。どうやら、「闊達で明るい職場にする」ための要素に、これらのキーワードが使えそうです。
そこでこれから先、筆者が担当する記事には、これらキーワードの中から選んだ一つをサブタイトルに付けることにします。まず、筆者が担当する第2弾の6月号は、「コミュニケーション」を選択し、「そんな職場にするためにコミュニケーションを活かそう!」というサブタイトルを付した記事を掲載します。同様に第3弾は「イメージ」、第4弾には「プロセス」を、キーワードとして取り上げます。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2011年4月号 リレー連載「闊達で明るさあふれる職場を作ろう!」から「そんな職場にするために福笑いを活かそう」より
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