今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2007年3月号 特集記事「5S・JIT及び品質と環境のISOで儲ける」から第6章「」ISOと5S・JITのシナジー効果で更に儲ける」を8回(第31話~第38話)に分けてご紹介します。今回は、(その8)を掲載いたします。
財団法人日本適合性認定協会(以下JABと略す)のデータによれば、日本国内におけるISO9001:2000審査登録件数約4万4千件、ISO14001:2004審査登録件数約2万件(2006年12月31日現在)である。なお、このデータはJABが認定した審査登録機関から登録証を付与された組織の数であり、JAB以外の認定機関(英国UKASなど)関連を含めると、その数は更に増える。
ISO規格を経営のツールと考えたとき、今までにこれほどまでポピュラーになった経営のツールは多くはあるまい。では、これら登録をしている組織にとって、ISO規格が果たして経営に役立っているのであろうか。
なお、一般的には経営に役立つとは、次の2つの意味で使われるが、本稿では、②の意味に限定して使用する。
具体的な統計データがないため、筆者の経験(講師活動、マネジメントシステム改善のためのコンサルティング活動など)に基づき判断すると、ISO規格が経営のツールとして十分役立たっている組織の割合は、全体の10%~20%程度と推察される。残りの成果を出し切れずにいる80~90%(推定)の中には、現状を変え利益をだす(儲ける)ための仕組みに変えたいとの思いはあるが、その方策が分からない状況下にある組織が少なくないのではなかろうか。
本特集記事は、このような悩みを抱えている企業のために、5S・JIT及びISO9001、ISO14001に係わる経験並びに実務経験が豊富なそれぞれの分野の専門家が、執筆を担当し、ISOで儲けるための方策、すなわち、成功へのプログラムをコーディネートしたものである。
5S・JITは、書籍の執筆、講習会の講師及び現場における改革・改善の指導など、この分野の専門家である古谷誠が、「本特集号の狙い、5S・JITの基本から、儲けるための具体策」を中心とした解説を担当した。
ISO9001は、大学の講師、審査登録機関の判定委員などを務め、ISOの規格(品質、環境、食品安全など)及びOHSAS18001(労働安全衛生)規格に精通するISOチーフコンサルタント君塚洋司が「管理技術との融合による儲けるための具体策及び経営面からの評価方法など」を中心とした解説を担当し、また、本特集号の企画と全体の運営、取りまとめなどの重要な役割を果たした。
ISO14001は、審査登録機関の環境主任審査員であり、また教育機関の講師を務め、環境分野において16年以上の業務実績を持つISOコンサルタント、木ノ内和夫が「EMSを進める上での2つの重要推進事項、本業の推進と関連した環境目的・目標の設定など」を中心として、解説を担当した。
まとめは、ISO研修機関でISO9001審査員研修の講師、その他ISO規格(食品安全、環境、医療機器など)の講師を務めているISOコンサルタントである筆者山本宏司が担当した。
なお、君塚、木ノ内、山本は、今までにもISOマネジメント誌に企業が儲けるために役立つ記事を執筆しているので、後述の参考書籍の項を参考にされたい。
本編の(表4)シナジー効果表は、ISO規格に5S・JITをどのように組み込むと効果的に儲けることができるかを、分かりやすくまとめたものである。この特集記事の筆者全員で、利益を出すための手段と経営ツールの効果的な組み合わせを表すことができた。
この特集記事を読んで、自社でもできると思ったら、「百聞は、1見にしかず」、更に、「百見は、1験にしかず」(著者の造語:百回見るよりも1回の経験がまさる)、すぐに儲けるための活動を実践してみては如何でしょうか。ISO規格を経営ツールとして効果的に使って儲ける主役は、読者皆さんの会社です。
なお、誌面上の関係で説明が行き届かなかった箇所、またはそれぞれの企業の置かれた状況による個別の質問などありましたら、お便りを頂ければ幸いです。お便りの内容に基づき、専門分野の執筆担当者が対応いたします。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2007年3月号 特集記事「5S・JIT及び品質と環境のISOで儲ける」から第6章「」ISOと5S・JITのシナジー効果で更に儲ける」より
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