今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2007年3月号 特集記事「5S・JIT及び品質と環境のISOで儲ける」から第6章「」ISOと5S・JITのシナジー効果で更に儲ける」を8回(第31話~第38話)に分けてご紹介します。今回は、(その1)を掲載いたします。
皆さんは、自分で自分の頭の中を見たことがありますか。筆者は、数年前にMRI(磁気共鳴画像診断装置)により頭部の検査を受けたことがある。数日後、コンピュータ処理された頭の中の断面画像により、医師から診断結果について説明を聞いたとき、自分の脳を自分自身で客観的に観察する、その時の不思議な感覚が、今でもハッキリ残っている。(図1 参照)。
幸いにも、診断所見は問題なしと判定されたが、もし異常が見つかれば、この画像はその後の治療に結びつく貴重なデータになっていたはずである。MRIに限らず、人間ドッグでお馴染みのエコー、X線など画像診断機器は、人体の中を「視覚化」するための装置である。これらの装置は、人体の中を見ることができなかった頃に比べ、有用な情報量を数多く提供し、治療の有効性の向上に大きく寄与した。
このように従来、解らない、又は気づかなかったことが、「視覚化」することで得られた有用な情報により、その本質や問題が明らかになることがある。
画像診断機器と同様に、本記事で述べるISO9001品質マネジメントシステム(以下QMSと略す)、ISO14001環境マネジメントシステム(以下EMSと略す)及び5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)・JIT(ジャストインタイム)なども、又「視覚化」が重要な役割を担う。(これに関しては、後述する)
本編では、まず「視覚化」することの意義について触れ、次にQMS、EMSと5S・JITの関係を説明し、最後にこれら経営ツールのシナジー(相乗)効果によって、企業が儲けるための効果的な進め方を読者に提供する。
ISO規格に基づくマネジメントシステムでは、各業務の内容やその流れを文書化する。文書化は、業務内容を「視覚化」することで、そこに問題が隠れていないかどうか、又業務でもし問題が発生したときには、どこに問題があったのかを明らかにする。
文書化の程度については、ISO9001 4.2.3参考2及びISO14001 附属書A4.4に次のような記述がある。
ISO9001規格及びISO14001規格(以下、両者を併せて表記するときISO規格と略す)に適合するためには、文書の記述内容は規格要求事項を満たすことが必要になる。しかし、上記ISO規格の記述からも分かるとおり、文書の形、数や量、詳しさについては、それぞれの企業がそれぞれの企業の必要性に応じ決めれば良いのである。利用価値がないために使うことのない文書を作るのではなく、企業にとって役立つ文書を作り、更に活動実績を踏まえて、より良いものに改訂していくこと、それが重要なのである。皆さんもご存じのとおり、ブランデーには、熟成年数によりVO、VSO、VSOP、XOなどの符号を付け、その中のVSOP(Very Superior Old Pale)は高級レベルを表す。文書は、それを使いこなすことにより、文書をVSOP(注1)のレベルまで上げることができれば、本物に近づくのではないだろうか。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌 2007年3月号 特集記事「5S・JIT及び品質と環境のISOで儲ける」から第6章「」ISOと5S・JITのシナジー効果で更に儲ける」より
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