今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌2006年2月号 特別記事「内部監査は、QMS活動全体の状態が分かるバロメーター -QMSの成果をだすための内部監査のポイント-」を4回(第23話~第26話)に分けてご紹介します。今回は、(その1)を掲載いたします。
『ISO 9001は、良いツールですね。それまで漠然としていた仕組み上の問題点がはっきりしました。問題点が明らかになればそこに資源を集中することで結果がでます。お陰様で当社は業績好調です』
これは、ISO 9001に基づく品質マネジメントシステム(以下QMSと略す)を構築後、2年経過したA社社長のコメントである。
私は、A社からQMSの構築に引き続き、環境マネジメントシステム(以下EMSと略す)に係わる導入の依頼を受けた。先のコメントは、久しぶりに面談した社長との会話の一部である。
社長に続き、管理責任者に、この2年間QMSの活動を通して何が良かったのか、また、何が変わったのか尋ねてみた。管理責任者からは、QMSの要素の中でも『内部監査』が有用であり、従業員の意識や仕事の取り組みに関して大きな成果が得られたとの回答があった。
具体的には、QMSの構築段階(登録審査前)には、審査で自部署から不適合を出して皆の足を引っ張らないように各部署の責任者が内部監査員に問題点の抽出を依頼した。構築後(登録後)には、内部監査員の客観的な視点で日常業務の中で自ら気づかない改善のネタを探してもらうことを求めた。
監査で得られた不適合などの指摘は、是正する(不適合の原因を絶つ)ことで再発防止が図られ、その効果が問題の発生回数の減少やその処置に係わる負荷の低減などの実務の中で、従業員一人ひとり実感できた。成果が実感できれば更なる改善をという意欲が高まる。A社では、その改善のネタを提供してくれる『打ち出の小槌』が内部監査であった。
QMSは、品質方針・品質目標、マネジメントレビュー、内部コミュニケーション、教育・訓練、顧客満足、内部監査、是正処置及び予防処置など業務を改善する様々な要素から構成されている。その中でも内部監査は、QMSの現状を把握しそこで得られた個々の問題点を改善するきっかけを提供するばかりでなく、QMS全体の見直しをするためのマネジメントレビューの重要なインプット情報の1つである。
また、A社の事例からも分かるように、内部監査は、その活動を診れば会社のQMS活動全体の状態が分かるバロメーターなのである。
日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌2006年2月号
特別記事「内部監査は、QMS活動全体の状態が分かるバロメーター -QMSの成果をだすための内部監査のポイント-」より
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