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第16話 「温室効果ガス削減を実行するためのPDCA」 

今回は、社団法人日本農林規格協会『JAS情報』誌2010年4月号 PDCAあれこれ〈その7〉 から紹介いたします。

本誌12月号でも述べましたが、温室効果ガスの排出を管理するためには、排出量を数値として捉えなければなりません。つまり、温室効果ガスを電気、ガスなどの使用量により算定しなければならないのです。この算定に係わる原則は次の5つです。

1.温室効果ガス算定のルールを理解する
2.組織境界を特定する
3.活動境界を特定する
4.温室効果ガスの排出量をモニタリングする
5.温室効果ガス排出量の正確さは重要である

また、温室効果ガスを効果的に削減するために留意しなければならないのは、次の10項目です。

①温室効果ガス削減方針の設定
②中、長期的な目標の設定
③専門委員会の設置
④技術専門家の育成
⑤従業員への周知・徹底
⑥設備の改造、運転、使用による対策検討
⑦設備の保守点検事項の設定
⑧設備の改修又は更新の検討
⑨温室効果ガス排出量のモニタリング
⑩活動の成果及び経済的な評価

これら10項目を考慮して、温室効果ガス削減のためのPDCAを以下に述べます。

(1) Plan
①温室効果ガス削減方針の設定
トップ自ら温室効果ガス削減の方針を定め、これにより従業員のベクトル(方向性と強さ)を合わせます。
②中、長期的な目標の設定
先に述べたように、地球温暖化対策基本法案では、2020年(中期)と2050年(長期)の目標を設定しています。企業での取り組みもこれと同様に、中、長期の目標を設定します。中期目標には、設備の使用条件の変更、メンテナンスなど、管理方法の見直しで達成できそうなゴールラインを設定します。一方、長期目標には、生産方法、設備、業務などの抜本的な見直しによって大きな成果が期待される数値を設定します。
③専門委員会の設置
温室効果ガス削減のためのPDCAを運営管理するための専門委員会を設置します。この委員会の委員長はトップが務めます。
④技術専門家の育成
温室効果ガス削減を効果的に実施するためには、省エネに係わる知識と経験を備えた人材が不可欠です。このため、自社で技術専門家を育成する、または外部から専門家を招いて指導を受けるなどの検討が必要です。
⑤従業員への周知・徹底
温室効果ガス削減のために作成した手順、委員会で決定したルールなどを従業員に周知させるためのコミュニケーションの確立、またそれらの内容を従業員に十分理解してもらうための教育訓練のやり方について予め決めておかなければなりません。

(2)Do
⑥設備改造、運転、使用による対策検討
温室効果ガス削減のカギは省エネ対策にあります。まず、省エネ対策に先立って、5W1H(Whenいつ、Whereどこで、Who誰が、What何を、Why何の目的で、Howどのように使っているか)により現状把握をして、その結果を考慮した対策を講じなければなりません。
⑦設備の保守点検事項の設定
設備の保守・点検は、エネルギーのロスを防止する上で重要です。設備の保守・点検事項を定め、定期的なメンテナンスを行います。
⑧設備の改修又は更新の検討
設備の老朽化に伴い、改修又は更新を検討する際には、省エネ仕様を重視します。設備を更新する際の判断基準は、イニシャルコストとランニングコストを考慮することは言うまでもありません。その他、環境に配慮した設備の導入が、外部に対してイメージアップに繋がるようなら、それも判断基準に加え、総合的な判断をします。

(3)Check
⑨温室効果ガス排出量のモニタリング
温室効果ガスの排出量を直接モニタリングすることは困難なので、その代用特性として電気、ガスなどのエネルギー使用量をモニタリングします。その際、月に1度の伝票調査ではなく、常時モニタリングができるようにしておく方が、異常値が発生したときタイムリーな原因究明が可能となります。データの見える化は、コツコツ改善を積み重ねる上で、重要な要素であるといえます。

(4)Act
⑩活動の成果及び経済的な評価
温室効果ガスの削減の成果や省エネによる経済的な効果を定期的にまとめ、それをトップに報告し、トップの理解を得て、トップから次の活動に向けた支援と指示を受けます。

CO2


社団法人日本農林規格協会 「JAS情報」誌 2010年4月号
「PDCAあれこれ 〈その7〉 -温室効果ガス削減を実行するためのPDCA- より


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