今回は、社団法人日本農林規格協会『JAS情報』誌2010年3月号 PDCAあれこれ〈その6〉 から紹介いたします。なお、前提条件プログラムとは、食品を扱う会社で実施している手洗い、マスクの着用など衛生面で一般的に行われている管理をいいます。
厚生労働省のホームページに掲載されている「食中毒統計資料」により、食中毒の発生状況を調査したところ、昨年のデータで特筆すべき実績に気づきました。これを分かりやすく説明するため、「年次別食中毒発生状況」(過去30年)のデータから、食中毒に罹った患者数と、食中毒により死亡した人の数を抜き出し、図で表しました(図1を参照)。この図をご覧になり、昨年(2009年)の実績、矢印(←)が付いている部分(2箇所)に注目してください。
まず一つ目の注目すべき点は、昨年の食中毒に罹った患者数が14,416人であったことです。この数値は、これまでの最も低い値24,303人(2008年)を、いっきに1万人も下回りました。また、30年間の平均値33,550人の半数以下という点でも、如何に少ない数であったかが分かります。
もう一つの注目すべき点は、食中毒により死亡した人の数が0(ゼロ)という実績です。ゼロは、常に目標とする数値であっても、効果的な手段がなければ、実際に達成するのはとても難しい数値といえます。
これらの結果から、昨年(2009年)は、この30年間の中で、特異な年であったといえそうです。そこで、特異な結果が得られた理由について、次のような仮説を立ててみました。
この仮説の検証は、食中毒のデータを分析する専門家に任せますが、もし、これが正しければ、食品工場で実施している前提条件プログラム(以下、PRPと略す)の有効性が実証されたことに他なりません。食品工場では、手洗い励行、マスクの着用は当然であり、これに加えPRPに基づき多岐にわたる項目について、衛生管理を行っています。この衛生管理により、食品安全に係わるリスクが低減できるのです。
社団法人日本農林規格協会 「JAS情報」誌 2010年3月号
「PDCAあれこれ 〈その6〉 -前提条件プログラム(PRP)を確実に実施するためのPDCA-」 より
ISOの研修の内容をご覧になりたい方はこちら | |
ISOのコンサルタントの内容をご覧になりたい方はこちら | |
経営のコンサルタントの内容をご覧になりたい方はこちら |