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ISOアラカルト(山本宏司からのメッセージ) 過去のISOアラカルト
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このページは、私が執筆した記事や講演会で伝えたメッセージから拾い出し、「ISOを上手に使おう!」と考えていらっしゃる皆様へご紹介するページです。このメッセージは、毎月(月始めに)更新いたします。
第22話 「知恵を活かした工夫の宝庫」(その3)

今回は、日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌2008年10月号 特集記事第6章「事例紹介 三重ダイケン株式会社久居工場 -知恵を活かした工夫の宝庫-」を先月から3回に分けご紹介しています。 今回は、(その3)を掲載いたします。

3.工夫を作り出す仕組み

まだ、紹介したい数々の事例がありますが、紙面の都合により割愛させていただきます。 次に、作業者のアイディア作りから作業者自身による製作まで、どのような仕組みの中で行われているのか聞いてみました。

(1)特徴

他社にはない、仕組みの特徴を教えてください。

南氏:久居工場には、2つの提案制度があります。作業者レベルで達成可能な提案を受け付ける制度と達成が難しい提案を受け付ける制度です。
前者の提案制度は、一般的に多くの企業で行われている制度と同じものですが、相撲になぞらえて、提案件数を番付(毎月、年度)で表します。作業者は、自らのアイディアを自ら実現し、その結果を、提案として事務局に報告します。2章で紹介しましたが、1つ1つの提案は、レベルが高い内容となっています。
後者の提案制度は、金額面や制度面で作業者自ら実現することが困難なレベルを扱い、「私の夢」という名称で、要望、提案を「私の夢実現委員会」が受付け、検討します。そして採用、不採用(理由を明記)の検討結果を発案者にフィードバックします。
2つの提案制度は、後者の「私の夢実現委員会」制度により作業者のモチベーションが高まり、前者の提案制度の活性化に繋がるという相乗効果を生んでいると思います。

(2)教育・訓練

作業者に対し、一般的な教育・訓練の他に、何か特別な教育・訓練をしていますか。

南氏:これといって特別なことはしていませんが、作業者全員に、工場内であれば自分の部署以外の部署を、外部においては様々な機会を活用し他社の工場(グループ会社の工場、仕入れ先、近隣の工場、異業種の工場など)の見学を推進しています。他部署や他社で知り得た新たな発見は、改善の大きな原動力となります。

(3)コミュニケーション

工場長から従業員に対するメッセージはどのようなものがありますか。

工場のトップ(工場長)は、月に1度「5Sの心」という瓦版を発行し、その中で5Sをキーワードとして安全、生産、品質、環境に対するトップの思いを伝えています。 工場長は、現場を回って、作業者から直接話を聞いたり、前述の「私の夢」による提案、などにより活きた情報を得ています。

4.伝え、磨く仕組み

これらの工夫、つまり技術・技能を伝え、磨くための仕組みについて教えてください。

南氏:それは、本特集記事で私が執筆を担当する第4章を参考にしてください。


5.瓦版の紹介

3.(3)で紹介しました瓦版「5Sの心」は、今までに20を超える発行の実績があるとのことですが、その中から、No.9の内容の一部をここで紹介します。

-前段省略-

5Sは何のために行うのか、5Sがどのような形になればよいのかが認識されていない。 この状態を改善するためには、まず、5Sを行う目的と目指す姿を全員が共有化しよう。 目的には、以下の四つがある。
  • ① ダラリをなくす(ダラリとはム、ム、ムのこと)
  • ② 人を育てる
  • ③ 安全性を高める
  • ④ 顧客の信頼感を得る
これらの目的は何のためにあるのか? そう、儲けるためだ。では、儲けるためにはどうすればよいのか?
  • A.不良の発生を予防する
  • B.作業の効率化をはかる
  • C.顧客満足(安心感、信頼感)を得て売上を伸ばす
それらが目指すところは、5S活動によって、一人当り付加価値を増やすということだ。

-以下省略-

この瓦版の前段では、南氏が現場を回ったときに発見したいくつかの問題点が具体的に挙げられています。前段の部分を含めると、この瓦版の内容は、①問題は何か、②その問題に対して何をしなければならないのか、③なぜ、しなければならないのか、④それを実施することが、従業員や会社にどのような影響をもたらすのかが、具体的に表現されています。つまり、身近な問題について、これを改善することが会社の利益にどのように結びつくのかを、具体的に説明しているのです。この点について、3.(3)では、コミュニケーション活動として捉えましたが、ISO 9001要求事項では、5.5.3内部コミュニケーションと、6.2.2力量、認識及び教育・訓練が関連の条項になります。
5S活動を、「従業員により自主的に実践されている」鍵が、この瓦版「5Sの心」によるコミュニケーションと教育・訓練にあることは、明らかでしょう。


6.おわりに

取材の中で、最も印象深かったことは、現場で会った従業員一人ひとりが、はつらつとした表情をしていることでした。まさに、「人を活かし」、「その人たちの手で技術・技能を活かす」現場を観る思いでした。
三重ダイケン株式会社 久居工場の皆様、取材にあたり、ご協力ありがとうございました。誌面より、改めてお礼申し上げます。

 

日刊工業新聞社『ISOマネジメント』誌2008年10月号
特集記事 第6章「事例紹介 三重ダイケン株式会社久居工場 -知恵を活かした工夫の宝庫-」より


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